2012年2月26日日曜日

TinyHouseのきっかけの介護制度、ちょっと長文。

このファイルの日付は2000年の7月。
当時の画像がなく再レンダリングした。
現在のプランはもう少し違う。
小さな住宅デザインは面白い。
でもこれを始めたのには、表層のデザイン分野の追求とはちょっと違った理由だった。


古い話だが、発端は札幌のとある病院の計画のとき、人は何処で死ぬようになるのかと言う話題になって、依頼者の病院経営者と意見が合わなくなった。


経営者はそりゃ病院で見取るのが当たり前でしょう。と言う。
僕は単純には、とてもそうは思えなく医療の経営は今まで通りのベッド数頼みで今後とも行けますか?と。




機種が古い。4番目に介護。
1996年のsystem。
「短時間巡回型」に
必然的に成ると想定。
当時の5年ほど前(1995)から、ようやく日本の官僚は人口の偏りについての問題を口にするようになった。
それ以前からその話は有ったのだが、署内でようやく責任の負担が重く(あるいは何でも自由にできる)なった世代達が自分たちの老後を考えたとき、実感したのだろう・・・と言うと意地悪になっちゃうか?。だからその時点で介護福祉法と言う「自宅で逝ってもらう」法律を作ることになった。

官僚も医療分野も地方行政も、誰もそれをストレートには言わない。
しかし、現実にはその法律だ。なんせ自分たちが逝く時期、物理的に病院系統のベッド数が足りないのだから、その競争率を下げなきゃいけない。
色々な老人施設があるが、その内に結局のところ「最後はご家族と・・・」と言われてしまうハズ。だから、家族に看取られるのが幸せで、病院で逝くのが不幸、と言う風潮も作られていくだろう。


写真は行政(道庁)向けに携帯電話の方向性などを説明していた2000年当時のコンテンツ。今はスマートフォンがフツーにこれらをこなしている。この中でヘルパー制度云々というレベルの当時、近い将来介護は多くの人が関わらざるを得ないので情報共有していないと成立しないと、行政に課題を投げかけていた。

当時の携帯電話のシステムでさえそう考えていたのに、この病院経営者はまだ見えていない。
老健施設を作ってあーだーこうだと希望的観測というか、経営に都合の良い事にしか目を向けない。医療コンサルタントも、制度資金がこれなら・・と、自分の取り分パーセンテージの計算。

こいつら・・・、ほんとに・・・。
でもね、今の制度に合致するだけの施設ではまずいでしょ。
制度は変わる、というより厚労省の本音は「てめぇの家で死ね」だ。だけど、それを言えないからあなたたちの見ている制度は本当に段階的なもの。今作ろうとしているのは病院建築、30年は持たさなきゃならないんじゃないの?そんな見通しで良いんですか?

設計屋ふぜいが何を言う。私たちはプロだ!なんちって意見が合わない。この事業を失敗させる訳には行かないので言うべきことは言い、最終的には穴を開けたままの制度であるはずがないなどと反論する。その内に疎遠になり、他の設計者を選んだのか音沙汰がなくなった。
病院設計の紹介者にえらく怒られたが、その医療コンサルタントは後日、もう少し様子を見ましょうと言う事になって、12年後の今だに状況を見ているとの話。アンタラが先に逝くぞ。

だけど、最終的には「てめぇの家で死ね」と言う筋書きにしちゃった厚労省は肩の荷を下ろしそれで安堵しているのかもしれん。ところが、その当時の(今もだが・・)住環境はそういうふうには出来ていない。ところで国交省は?と純朴な田舎の設計屋は疑問に思った。案の定何もやっていなかった。

ソノ時期になって慌てないように建築の方も準備しないとまずい、それには建設側にもその状況に対応する制度を作る必要があるだろう。でも田舎の設計屋が騒いでもダメ。この際トップダウン、発言力ある一・ニ番の企業代表・・・と言う事で送ったのがこの案。車価格以下の小さな別棟。

従来からの住宅事情に必要になる、
その場で全方位移動可能な
オムニキャスターの木製車椅子。
2000年当時の画像。
「てめぇの家で死ね」と言うからには、それをサポートする多くの介護者が頻繁に出入りするようになる。それには既存の住空間のプライバシーや介護作業など空間的な諸問題が発生してくる。それに住居内用の車椅子デザインが無かった(今でも対応できているとは言えない、あんな大きい車輪・・)。それらは手すりや段差など小手先のことで処理などできないので、いっそ自家用車スペースを医療空間に適応させる商品を作る案を直訴。

車庫が道路から一番入りやすいはず(当たり前)。またそれらの商品は不動産ではなく動産。むしろ建物パーツやリフトなどの設備等、全てがリース物件。24時間インターネット見守り・遠隔医療サービス&地域見守りなどなど・・。オプションで便器にオンライン尿検査なんてアクセサリーも・・。
住環境インフラ整備の必要性と、制度をちゃんと作ればそれは商売になるよと説いた。
もちろん今回も国に進言できるのは貴方達だけだと。

数週間後、秘書室長から丁寧なお断り返事が来た。社長が交代時期なので・・・と。そう言えば時期が悪かった。すんごく頑張って直訴したのでその分すんごく凹んだ。でも、真似して形だけ作ったらしい。で、売れなかったらしい。TVで、高級外車並みの価格のこの商品を見てずっこけた。

ちゃう!建物のデザインじゃなくて制度のデザインなんだってば。需要が無いのに作ってどうする。
そりゃそうだろう。制度と流通と保険あるいは共済等とをミックスしなければ導入する側にメリットがない。作ればよい商品ではないんだって・・。建設業の業態変化もやんなきゃ・・。
需要はこれからなんだよ。

そして現在、来月からかな?介護保険制度が見直され、想像通りの本格的に自宅が病室という様相になってきた。厚労省は、本当に手の込んだことしやがる。

さっきカミさんと話をしていたら、一人住まいでないと介護サービスは無いとか。
同居していたら介護サービスが受けられない。
何とか受けようとしたら、その費用を稼ぐ為には別居しなければならない状態だと?
逝く時には後始末もあるので病院に運んで来いとな。現代版楢山節考と処理場か・・。

しかし国交省。相変わらず何もしていない。
大手ハウスメーカーさん。あんたらが動かなくてどうするの?。
「スマート」をやるだけで、これを見逃しては社会的存在意義が無いぞ。

やらないなら車屋さんが参入でもいいけどね。
Posted by Picasa

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