2015年9月26日土曜日

ザハがやりたかったこと

一年ほど前、あるソフトウェアの会社にボロノイに関してのプラグインは有りませんか?と問い合わせたことが有った。

建築構造にもFEMの考え方が一般化し、さらには荷重と形状の制限内で構造体の適正配分が可能になった今、それを実現させるための素材配分方法としてボロノイが必要になってくる、と考えていたからだ。後日、良く調べるとそれに近いプラグインが有ったので、今はごまかしながら試用している。
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このビデオは自然物の細胞の形状から、その「有るべき適正な形」を模索するもの。純粋な細胞工学の物ではないが、サーフェースや構造を効率的に考える物として「あり」だなと思う。
面白いのは、ボロノイと一般サーフェースをリラックスさせている事。(リラックス=力を馴染ませると言う感じかな)最終的に使用しているのは、多分autocad系ソフトウェアのあのコマンドだ(笑)

このボロナックスの考え方は自然界に習って均一素材の配分という事に基づいている。だが、確かに自然界では単一な素材でのみの構成なのだが、人間は強度の違う物を組み合わせる事が出来る。それをクリアすると更に良くなるだろうと思う。

例えば骨格。骨の細胞は「骨」しか作りだせない。つまりは単一な素材。しかしながらその単一素材を縦横無尽に使い、密度や形状を変えながら非常に合理的な動作の組み合わせまでに創り上げている。

そしてその断面は、構造計算の公式で解ける形状の物は一つもない。元々今までの構造計算は「計算しやすい仮説」を解いているのであって、骨細胞が作りだした自然の摂理の物ではないのだ。

人間は、ようやくそれを解ける入口まで来ている。有限要素と時系列3Dシュミレーション。これが汎用化された今、それにチャレンジする人も数人見かけるようになった。ようやく構造は自然を越えられるかもしれない。キーは異強度剛性。これがクリアできれば、ようやく建築も医学に貢献できるのだろうね。



ザハの近年の動きを見ていると、どうやらこれをやりたいらしいのだ。他にデザインした小物もこの一連にある。

課題は有機的形態に数学的根拠が与えられるか、と言った所なのだがその手順が、発生した形にこだわるあまり、摂理を超えていきなり「神の手」になってしまう。
 
多分それは、彼女をアシスタントしているCGデザイナーが、「グラフィックデザインとしてのCG枠」を超えられないので上手く到達できないのだと思う。単純にイメージした形と力学的形状とは違うのだ。ソフトの限界が発想の限界になっている。

こう言う事は最近多くなっている。
日本の有名建築家の例だが、アシスタントがCGソフトのRhinoceros(ライノセラス)の達人。
それでその有名建築家はそのソフトの中にある、グラスホッパーと言うプラグインが作りだした形状が「作風」となったりしている。

つまり使ったソフトが「作風」となる時代。
昔、デザイナーが「フォトショップでやった」と「自分の技?」を自慢してた時代が有った。
フィルターコマンド止まり・・・(笑)
笑うべきか嘆くべきか、それとも必然なのか、とても迷う(笑)


ザハのあの案にあったキールアーチは建築骨格としては矛盾は無いのだが、それを成立させる為の「あるべき形状」がサポートされていない。日本の設計業界の修正案はさらにその下を行く物だった。

もしも日本の設計チームに、京大のプログラミングアーキテクチャー研究グループなどがサポートしていたら、修正案はよりザハの案に近い合理的なものになっていたと思う。(下記ビデオと近い事をやっている)

これは140mの梁の合理的構造形状の逆解析。力と荷重条件から適した形を求めていく計算。
形状制限を変えたり異強度素材であればまだまだ違う形状になる。
日本では藤井大地氏が同じアルゴリズムを書籍で紹介している。



多分それでもゼネコンは反発するだろう。
「実際にはどう作るのだ。型枠や表面仕上げはどうするのか」

僕ならこう答える。
「3D分割サーフェース膜に吹付GFRC。キールアーチ構造も同一強度同一断面のソリッドな素材で有る必要がすでにない。」

一連の残念な結果は、運営側だけに有るのではない。
建設技術コーディネーターが弱かったんじゃないかと思う。

関連
ザハ・ハディットが悪いのではなく・・・

2015年9月24日木曜日

面白いジャンルの車両区分がある

2人ちょい乗りという用途。町工場製造原価60万ぐらいだった(電動部品が高いね)

画像は道路交通法車両区分で行けば、「側車付軽自動2輪250cc以下」いわゆるサイドカー付オートバイに類するもの。車検がお得。

トライク(3輪車)L2.5m W1.3m H1.15m 3KWホイルインモーター。2人乗りゴーカートの様な大きさ(規定ではドア屋根は付けられない、開放が条件。)

動力・方向制御は後輪。前輪は生意気に車にバンク角(遠心力軽減)を付けるサスペンション。(トライク結構ずっこけてるようだしww)
この選択は現段階で出回っている汎用製品(モーターとブレーキの関係)の限界。

3輪車はお安く製造できるんだけど、コーナーに弱いのが欠点。だけど重心を安定範囲の中にどう配置するか、考えようによっては3輪だからこそのメリットもある。その一例。 ボディデザイン前なので軍用みたい。(なまめかしくも出来るww)




前から面白いジャンルと思っていた車両区分。高速は走れないけれど一般車道・街乗りOKでひところ走っていた原付ミニカーの制限速度30kmは無い。

タンデム乗り(2人前後乗)ならバンクも簡単だけど、それじゃつまらない(ドライブは話し相手が有るほうが楽しい=好み)のでこんな形。並列2シーター車のバンクは難しいけどこれならほぼ解決。(どや、BMW!(笑))



あまり大きな声では言えないが、現行法ではこれを電動でやるメリットは大きい。
トライクではあまりにも有名なT-REX(600万以上)。
http://www.motosalon-oka.com/trex14r-top.html

まだまだ対抗できる要素があるので各社この種にチャレンジしてるみたいだね ww。

2015年9月16日水曜日

安全は誰もが手に出来なければならない。(アースバッグ工法再考)

安全は国民の権利。

とは大上段に言っても、条件状況が異なればその実現は簡単ではない。国や自治体が常に保障してくれる訳でもない。


土砂災害が起きるたびに、そしてちょうど昨年の広島の土砂崩れで沢山の犠牲がでた時、これをまとめていた。

宅地造成法


土砂崩災害が現実に起きている事は、国土交通省の宅地造成法に誤りや見落としとまでは言えるかどうかは分からないが、今まで通りで良いわけがないのだ。

災害ハザードマップ・災害危険指定区域を慌てて作って、その中を規制するとかはしているようだが、規制したところで現にそこに住む住民には何の処置もしていない。

造成許可を降ろしていながら、災害危険指定区域とする。この矛盾にも応えていないだろう。そしてその「土」の技術的改革が有るのかないのかと言うと、進歩は全く見られない。

河川の増水で堤防が決壊したが、この技術も「土」を甘く見ているのが報道で判る。

アースバッグ工法の応用

アースバッグ工法はアメリカのNASAが、人類が他の星に移住する際、どうシェルターを作るかと言った方法論の一つ。(ソイルバッグも同じ理念)

人類が他の星に降り立った時、唯一そこにある建設材料、「土」の工法だ。
簡単なこれを使って、従来の「土」に、支持構造体としての性能を持たせていく。必要な物は土嚢袋と、土と若干の土質改良材(安価=石灰・セメントなど一般的市販品)

誰もが入手できる材料で、簡単かつ経済的に専門の業者を必要とすることなく、安定した土質と地形を維持する工法を得る事が出来る。必要な物は草木を愛でる様な日常的視点あるいはメンテナンス。補修もさらなる補強も簡単だ。

近年になって、それは自然派、サスティナブル工法とかグリーン工法などと合流し、各地で建設の動きがある。しかし、そう簡単に普及は進まない。

その理由は3点。

  1. 「建築」となれば法規で安全を確保し規制しなければならない。
  2. 他の建築工法のようには利益が出ない。
  3. 熟知する技術者が少数

事に由来する。
(よくわからないのだがどうやらこの工法でも利権を争うグループが出てきているようだ。商売になり始めたという証拠か(笑))


ガーデニングと同じレベルの技術で安全を積み上げていく。

この書類は昨年作成した物。ある災害危険指定区域で、安価に住民が協力して確保していける難易度の安全確保の方法論である。ガーデニングの様に日常的作業技術範囲で住民自ら安全を確保していく。安全は本来そう言ったものでなければならない。

宅造法ではコンクリートとブロック擁壁しか記載例がないが、昨年アースバッグ工法で、一般擁壁同等の安全を確認するならば、許可されるのだろうかと言う試みを行った。

前例はないだろう。それは判っている。しかし、この工法ならば多大な政策予算や工事費を費やすことなく、確実に住民環境の安全をかさ上げできる。安全対策予算に苦しむ地方自治体にだって有効なはず。そう言う視点でこの構造計算を審査してほしい。理解できなければ上級省庁に相談してほしい。

昨年はそうお願いして提出した。
結果は「見たことない」で、終了(笑)

今年も8月に、この工法ならばどうなのか。結果は「土嚢なんて」と頭から否定されている。
それは、技術的な見地から物を言っているのか、それとも狭量さからなのか!と食い下がるが、一考する気もないらしい。

そして、災害危険指定区域に指定したから自分達には責任が無い。住民負担が多かろうとも、自分達が認めた工法で無ければ許可しないと言い切った。
住民負担の重さがどうでもいい?何を言うのか。

行政なら、なおの事技術的見地で見るべきだと反論した。彼らが言う技術根拠は「素材・材料」でしかない。コンクリートは土よりも丈夫。その程度の技術観点で安全を語るなと言いたい。

しかしながら、役所が障壁になったその工事は、どうでもいいから早くケリ付けてというオーナー側からの要望で、この工法は流れてしまった。(ごもっとも・・)

役所の技術革新はボトムアップでは出来ない。
これは前から判っていた事だがこれでは住民は救われない。
災害危険指定区域で固定資産値が下がり、許認可で拘束、工事費は高価格になる。

河川被害のニュースを見ながら、こうした住民生活を守るには、制度設計だけじゃなく、やはり色んな分野のパートナーは必要だと思う。  つくづく(笑)

都市部なら集められるのだろうが・・・・(笑)

今後のすべき事は「自助工事的アースバッグ工法」を誰でも利用できるよう整備する事。
さてさて・・・

2015年9月15日火曜日

ある農業施設

道央の製造業との農業施設企画。

依頼の物とは関係ないのだが、以前から気になっていたものをネタに出した。

コンポストトイレ+休憩室。


農場でFRP製の簡易トイレを見るたび、「あれ、清潔感を保つのは大変だろうな」と思っていた。
他にも、公園や観光地やイベント会場・被災地のトイレも正直、なんで掃除のしやすいように作らないの?と・・。

見ていると、トイレメーカーはトイ機器しか考えられていない。それはいいのだが、他の分野もきちんと考えなければ、総体的にコストも落ちなければ省エネルギーにもならない。
建築もこうした機器類に関しては、設備分野として一括して分離してしまうので、そっちが悩んでいる事などには目もくれない。結局は何の解決策のアドバイスもしていないし出来ない。業界そのものが上から目線。悪い癖だ。

これはそんな視点から考えていたもの。

このコンポストトイレは一日の処理数は大小双方50回の分離型処理。
コンポストトイレは、あえて分類すれば嫌気型・好気型に分かれ、これは好気型のデザイン。
従来製品と異なるのはシャワートイレ便座もセッティング出来る所。

TinyHouseを考えると常にトイレはどうするのかと言う問題に突き当たる。
豪華キャンピングカーでも「お持ち帰り」は出てしまうのだが、その処理は大変。
そこで「解決の道」を付けましょうという事で考えていたもの。

コンポストメーカーも採算面と開発段階の都合(理解していなかった)で初期段階に落としてしまった機能なのだが、完全分解までの時間短縮とその間の処理の簡易さ(容器洗浄が必要ない)を特徴としている。完全分解後は肥料となる。

分解処理には、北海道厳寒地ではほんの少量の電力(発電パネルで十分)は必要だが、他地域では不要。もう少し小型にすれば家庭用トイレにも応用可能。

まずは移動型トイレとして、水洗トイレよりもイニシャルコストが安く、従来のタンク式よりも取り扱いが簡単で、使用感は水洗トイレに準じる、と言う所を目標にしている。

「社会的に必要とされている分野だからウチがやってやろう」と言う、気概を持った企業と出会いたいのだが、中々いない。そりゃぁ製造コストはかかるが、よく言う失敗などの開発リスクなどは無い。

以前、地元企業に話をした時、残念ながら興味が無かったようなので無理にお願いする訳にはいかなかったので機能とコスト優先でまとめた。


Tinyhouse by CLT:


最新のもの。 ノルウェーの15ft角(約4.5m角)のTinyHouse。
フレームはノルウェー産CLTで一日で出来る。
バスルーム・トイレ・キッチン・ベッドルームなどは好みに応じてセッティングをするのだろう。
この大きさで一家族。ざっと考えると必要十分の広さだ。

ここでは基本的に薪ストーブだけを置いているのが面白い。
引用元の内容とは若干異なって感じるのだが、それには意味があるようだ。



日本のCLT規格とは異なるので細かい所までは不明だが、建設中を見ると壁の厚さは75mm程度。ドアなどの開口部から推測すると断熱材の厚さは50mm前後か、それ以下に見える。

これは北海道よりも薄い。断熱材がゼロと言う場合も考えられる。
だがエネルギーロスが大きいという観点で見る事は早計だ。
(実は内心やってくれるなぁと感心した)

時代に逆行してるのではないか?
そう思う人は洗脳されてしまったのかもしれない。

確かにこの北見地方では外気温-15度として室内を22度前後として計算すると、常識的経済エネルギーでの考え方ではグラスウールは160mm以上となるだろう。

だが、現行の工法でも壁体内結露は避けられない。通気層を付けているから大丈夫。そう思っている技術者は甘い。工学的な事で言えば、断熱性能の数値は同じでも素材物性で性能挙動は異なる。表面密度一つとっても水分の蒸発や反射熱・遮熱それらのタイムラグも異なる。

現状はそれら実に複雑に異なる物をざっぱくにまとめて、えいや!と計算上に載せているだけに過ぎないのだ。ならば・・・と、省エネの御旗の下、どんどん厚着するように断熱材を重ねていくことになる。

しかしそれは温度管理での話。その温度管理は確かに省エネルギーには寄与するだろうが、一体工学的に、あるいは人体にどれだけの効果があるのか。例えば管理された湿った素材が壁体内部に有る事でも全て悪い方向と言えるのか、あるいは本当に薄着で過ごせるのが良い住宅なのだろうか?

これ以上は工学の話ではなくなる。

医学の観点からはどうなのだと、同席する機会があったので聴いたことがある。
双方数名ずつのドクター達が応えた答えはご想像にお任せする。
その結果が、あの腐敗菌までもが喜んで居るように思えるほど、快適な、病室だ。
同じく環境工学やCasbeeも、皆澱んだ空気を目標にしているかのようだ。

建築学と医学との、学際的な接点は相も変わらず産まれない。
まずは、建築が不健康な環境で患者を作り、それを医学が補修する(その中で培養され適応してしまったら完全には戻らない)
悪代官と大黒屋のような互恵関係は維持しながらも・・。
どちらの業界も困ってはいないので真剣度は無い。
実に馬鹿っぽい。


この例は少なくとも暖房に関する考え方の違い、ログハウスに慣れている事(木材を断熱材としても見れる観点)、また日本の省エネルギー分野では考慮されていない、木材の表面温度の温冷速度や蓄温冷速度等の、タイムラグの考え方の違いに由来しているのだと思う。

この程度の大きさの気積を必要な温度にするための、薪ストーブの温度特性で行けば、またキャビン(別荘)での行動様式から行けば、北海道のような一日同じ温度を目指す事は不自然という事なのだろう。

無駄は日本の省エネルギー手法や政策や工法の中にも沢山ある。
現行の建築一般常識の、断熱材の厚さやC値を競うだけの省エネは、不健康な人の為の優秀な保育器を作るだろうが、精神的な健康や人体の基本的自律機能までもは保証しない。

経済枠内のみの観点で組まれた省エネルギー。それ自体人間のライフサイクルから見るとバランス要素の一部なのだ。過大に扱う事は間違いだろう。

引用元


2015年9月14日月曜日

スマートな杖

昨日日曜は義兄の一周忌の法事。
朝、術後の処置を受けて出席その後、温泉旅館で会席。
やはり傷口をかばうせいか姿勢がおかしく、病ではないが股関節が痛む(幼い頃に脱臼している後遺症)。
我慢をしているが、普段でも長時間立位の場合は厳しい状態なのだ。
まぁ、身内だけの場でもあり、我慢をせずに杖を持ちだした。

ところが、久々なもので杖が上手く使えない。
タイミングがつかめなく歩行がぎくしゃくしてる。
これはカッコ悪い(笑)

クラッチ杖・スティック杖の両方を持ち出し、どちらが不自然さが大げさにならないかでスティック杖を選んだ。
スティック杖 老人用の物からは良い機能デザインの物が見付けられないので、トレッキング用のを使用している。
デザインは豊富。おしゃれな物も機能も多種多様で面白い。 でも、手首は疲れる。

クラッチ杖 現物もこれ。これもねー、一長一短。安定しているんだが、物が大きく邪魔くさい。


駐車場に置いてある数十メートルの距離の往復が厳しい一日だったのだが、久々に杖を持ち出して気が付いたことが沢山あった。杖のスタイル・方法論を改善できるアイディアもつかんだ。今日はそれをまとめている。

すまん、また道草を食っている。

2015年9月13日日曜日

悪夢でもあり現実でもあり

チョットした手術後、モチベーションが低い。

ちょっと早めに寝て夢に泣かされて目が覚めた。
夢だから辻褄は合わない。
独立したての事だ。幾つかのコンペで入賞し道外を走り回ってた頃の記憶と重なる。

他の町から設計依頼された雑居ビル。それが完成オープンするらしい。
学校から帰って来て暇を持て余している、長男と次男に「行ってみるか?」と声をかけた。
3番目はまだ小さく奥さん側と行動を共にしてたんだろう。2人は「行く!」と二つ返事。

そしてそのビルへ。現地を探しても僕のデザインした物は建っていない。
ちょっと離れた駐車場に車を停め、子供たちに「ちょっと待っててくれ」と言って降りた。

現地には、妙な安っぽい趣味の悪い建物がある。全く別ものが建っていた。悪夢だ。
オーナーが呆然としている僕を見つけ「この人がこの建物の設計者だ」と大勢に紹介した。
拍手が収まったころ小声でオーナーに抗議した。
「なんですか、どうしたんですかこの建物」
「いや、業者を値切ったらこんな風になっちゃって。悪いけどこの後も面倒見てくれよ」
「え?そんなの責任持てませんよ、一体何の面倒なんですか?」
「入居するテナントには新進気鋭の建築デザイナーがデザイン面での面倒を見る」って言ってあるんだ。そう言って10名ぐらいの企業に逢わされた。勢いに負けて、挨拶をさせられてしまった。

よく見るとひどい建物だ。嫌だこんな物の責任を取りたくない。テナントもどこの何だかよくわからない。それでも最高の愛想笑いとベンチャラと、テナントの不安を取り除く臨機応変のアイディアとを連発して行く。深みにどんどんはまっているのは判っているのだが、順序立てた嘘に組み込まれていては簡単には抜けられない。
最初の嘘に巻き込まれることを避ける事よりも、予想外の展開を切り抜けるのに没頭していた。

数時間経ったのだろうか、テナントたちを納得させる為のパーティも済んでへとへとに疲れたころ、更にオーナーが何か言いたそうだったが逃げ出した。

日も暮れて辺りには雪が積もっていた。
子供たちが・・
急いで待たせている所に駆けつける。
暗く広い駐車場に、僕の車だけが停まっていた。

見えると同時に遠くから次男の泣き声が・・・
見ると2人取っ組み合いのケンカをしていた。
長男は少し我慢するのに比べ、次男はいつも状況を素直に表現していた。
2人は不安な感情を相互にぶつけるしかなかった。
そんな状態にしたのが申し訳なくて、抱きかかえて2人が泣きやむのを待った。

順番を追って話すのが得意な長男に何をしていたか聴いた。
不安を我慢しながら、僕がどこにいるのかアチコチ捜し歩いた事を話してくれた。
二人は知らない街で何を手掛かりに僕を探したのだろうか。
その頃、僕は否定しながらも、この子らを忘れ、どこか生きがいを感じて「嘘つきの商売」に没頭してたのだ。全てを聞くまでもなく、子供たちに申し訳なくて、声を上げて泣いた。

自分が嗚咽する声で目が覚めて、今は子育ては終了した事に気が付き、安堵した。

起きあがり、しばしうなされた事を想う。
僕のオヤジは布団屋で、その配達とか御用聞きの車に乗るのが好きだった。
田舎道をトコトコ走るのも、オヤジが客との対応時、そこの周囲の風景を一人眺めながら待っているのも、とてもよかった。そう言うのを体験させたかったのだが、この夢はそれを上手く出来なかった負い目か、それとも急場しのぎが多かった商売のせいか・・・

子育てに関しては彼女はとてもうまくやってくれた。文句は一切ない。こちらも学ばせてもらい感謝している。それに比べてどうだったのかと考えると負い目があるのだ。

足抜きが出来ない状況は現実にも多々あり、多くの場合筋書通りには行かない。
芸術家は、単に自分の技の範囲で自分の想いを表現出来ればそれで一応の一件落着、表現されたモノが評価対象だが、デザイン業は他人の事業を成功させる事でようやく評価される。それも他人の技(能力)を使っての事。

見かけ以上にハードなのだが、軽く見えるせいか、真剣に成功したい人達だけが集う場面などはほとんどない。むしろ障害の山積から始まる。常に能力や目的とはかけ離れたところでの、妥協と食い違い。引き返せないがための説明と納得が必要になる。普段、泣きたいんだろな、本当に・・。

結局、自分の歪みに決着させ床に戻った。 この夢は2度と見たくない。

2015年9月7日月曜日

sketchup 構造系のプラグインでちょこっと描く


Sketchup T2H Building Structure Tool と言う素晴らしいプラグイン。
(前記事からの続き)
この完成度を見てると新たに描くのも滑稽に思えて来た。
むしろ、これをベースに自分なりの使い方をしてみる方が早いかもしれない。
プラグイン自体にパワーがある。
 
sketchupで3次元モデルを作る場合、よくある方法では平面図の輪郭面に高さを与えて3次元化する。
これは手っ取り早くパースを得る方法として一般的になっている。
意匠系の人はそれで十分なのかもしれない。
僕も意匠系なのでそう不便を感じてはいないのだが、その3Dモデルはそれ以上の用途には使えない。せいぜいパースと平面立面展開図と、いわゆる意匠のみ。
この方法で作られたデーターではマスターデーターベースにはなれない。

世の中の建築家には意匠系・構造系と分かれていて正直言うとその分類は間違っているんじゃないの?と思っている。
構造が分からなくて(責任を持てなくて)デザインするってのは感心できないのですよ。

新国立競技場の騒ぎはまさしくそれ。そう言う常識がまかり通っているから起きた事。
「デザイン屋さんもきちんと造形に責任をもてよ」基本的にそう思っている。

だからsketchupも平面図から起こすなんてことはしないで直接3Dモデルを描いている。
2次元CADは書類に出すとき、あるいは2次元CADしか使えない人とのコミュニケーションに使っている。その方が構造的な検討などにも有利で食い違いがない。
その後、結果としての図面を吐き出せばいい。図面はものを作るときの伝達の方法論であって、それが目的ではない。「図面屋さん」とは少し考え方が違う。

で、下は簡単な基礎例(北見地方仕様)


北海道仕様のデーターで描いてる(こんなのは付いて無い、オリジナル)

この3Dモデルは構造系プラグイン(作者の視野の広さが判る)を使ったので、簡単な基礎とは言えど、すべての構成部材に符号が入る。これは構造計算をする時に負担面積や荷重などを検討するのに有利。意匠系の平面に高さを与えるものではまた再度作図をしなければならない。
またコスト検討の時も構成部材単体が分離していなければ複合単価だって活きてはこない。
エネルギー計算だって、東西南北では条件が違うのだ。

jw_cadが作られる以前、CADマスターデーターベースと言う構想を持っていた。
その当時の国産cadにはそう多数のレイヤーは無かった。autocadは無限にレイヤーが作れるので、せめてjw_cadはグループ化した多層レイヤーにしてくれとお願いした覚えがある。今のレイヤー構成はそうした意見を汲み上げてもらった物。だから256レイヤーの他に線色数と隠文字数を掛け算で十分に描き分けられる。

結局のところ3DCGも2DCADも、描くときは省力化しながら、どれだけ正確でかつ現実に即した情報を沢山込められるかに尽きる。よほどの他のデーターベースとの照合システムがない限りは、省略してとかまとめてと言うのは、スターデーターベースにはなり切れない。

或るソフトウェア会社に頼まれて、そう言うソフトの開発スケジュールを組んだのだが、CADの黎明期すぎて没った。今の時代なら可能なんだろうね。そう言った意味でこのプラグインは汎用性が高い。

プラグイン側の記号とコメント・マテリアル・任意名称、それに基本の任意無限のレイヤーとダイナミックコンポーネントの任意の属性付加で「どうなっちゃうんだろ」と言うぐらい拡張性がある。BIMにはもってこいだなぁ、と改めて思う。

左画像はマークした基礎部材のアトリビュートをエクセルで読んでいる図。一部材で210行ある。(まだ何が書いてあるのか理解してないww)

いずれにしても部材に、このぐらいの属性が付加出来れば工程管理・資材調達時期のコントロール・工事資金管理など、建設業全般に活かせる。(何を言ってるのかって?www)

いや、このプラグインはこうした僕の妄想にも対応してくれる物。これは今までになかった。素晴らしい!



おまけ
ある仕事で面白い事が有った。
平面図が出来、その次立面図が出来、その後展開図が仕上がっていく。そう言う風に思い込んでいる客が居たのだ。(昔はそうだった)
いわゆる「設計事務所をうまく使うためのマニュアル」を信じ込んでいる。
そう言う客から見ると、3Dでの打合せはこころもとないらしい。

「あのですね、僕は何でもデザイン屋なんですよ。図面なんてものは作る物が決まった結果なので、詳細までの検討が終わった後でいいじゃない。」と言っても聴かない。

仕方がないので途中で2次元図面を吐き出すと、数値も全て出ているのに意味不明の変更の嵐。より現実的なデーターや打ち合わせた内容より、実際には見えない記号化された2D図面の方が信用できるとは・・。2D図面だけが正確な物と信じている。いや僕がやっているのは、それらの欠点を補うための方法論。現在は正確無比なんだが・・。思い込みとは恐ろしい。

まぁ、どんなマニュアル本なんだか知らないが、遅れている事はなはだしいのと、いわゆる既定の図面が欲しいだけなのにも呆れた(頭が固すぎるのと権威主義、活字を信用しすぎる)のと、実際の現場トラブルが予感されたのでこちらも降りた。

2015年9月5日土曜日

ちょっと新しい事を試みる

建築関連の友人が逝った。
晩年奴はどういう仕事をしていたのかと思うと、こっちも溜めている物を吐き出しておかなきゃぁなと思う。

最近sketchup2015に入れ替えたのでまだ手間取っている。
国産プログラム言語のRubyはやって見たかったので
まぁ、とりあえずそれ関連。

免震装置などちょっと手掛けてみると、常識的な建築の構造計算の大前提にちょっと疑問を持っている。

話は簡単なんだ。
お国では、こう言う物は計算できなければ問題の解決のしょうがない。
だから、構造計算のルールを決めた。だが、それは手で計算するしかなかった時代のルール。
それが現在でも続いている。

例えば柱。 ほとんどの場合は四角い。 なぜか。 
構造計算者は言うだろう。
「まずは計算できるように、地震などの建物にかかる力方向を座標に置き換える。それがXとYとの2方向の合成で表すから」
柱が四角い事は、この前提から行けば(解くのに、また作るのにも)合理的なのだ。

でも四角いという事は対角線上からの力にはもっと抵抗できる事、つまりは耐力としては過剰な状態。安全側ともいうが、その検討はサボっているとも言える。

全方向に均等に抵抗するのであれば丸柱。これには構造計算者も異論はないはずだ。
だが、計算するには、いや作るにはコストがかかるので、四角の柱が一般的になっている。

それでは梁はなぜ四角いのか。
もうこれには製造コストの面としか理由が立たない。
その方が計算しやすいという事もあるのだが、梁は常に重力を支えている事から柱の様にXYのような方向軸が異なる事がない。いつも一定の重力方向。
一部ラーメン構造のような場合もあるが、四角いのはコスト面でしか理由がない。

BIMとして北海道厳寒地仕様の基礎や新たな構想の大梁・小梁・柱類のデーター作成

丸太を切る事が大変だった時代のルールが今でも続いている。
集成材での梁あるいは合板梁などは、もはや四角くなくても良いのだ。
同じ強度を出すのにいつまでもソリッドな梁に固執する事もないだろう。

と言う風になるのだが、今は構造計算方法が昔のまま。
確かにコンピューターを使う事で能率は良くなったのだが、使用している計算式は手計算の時代の公式である。
事務屋さんの発想が帳票にこだわるのと同じ。それ以前に事務プログラマーが「簿記」から抜け出せない。資産運用はもっと循環的・補完的。動的な物だと思うのだが(ま、それは別の機会に)

という事で手慣れた建築技術者なら笑って見ないふりして通りすぎる話なのだが、ずっと納得をしていないのだ。

これを何とかしたい。構造業界の人からすると無謀なチャレンジ。でも少なくともきちんと構造計算が成立し、かつ安全で経済的になるのだから、業界に逆らってちょっとやって見る。


参考にしたプラグイン作者のT2Hさんと言う人・・・
このsketchupプラグインはT2H Building Structure Tool。素晴らしいプラグインだ。スクリプトを読んでいると、モデルに属性を与える場面ではこの人は本当に建築が好きな人なんだなと思う。設計者によって物事の整理の仕方が違うんだけど、この人はとても前向きな人だ。

演劇の場面のようにキャストに何を演じさせたいのか。それ行く?みたいに、部材部材に対する愛情がある。なんかBIMって「このイニシャルコストが~ぁぁ!」と、営業面に有効みたいに思われているけど、この人は違うね。この人は完璧に建築馬鹿だよwww。


まぁそんな鑑賞をしながら、作者のtaha2hataさんのデーターに、BIMデーターとして僕の方も新たにやりたい事を加えている所の図。勿論作者が意図としていない使い方を強引にしているので、ちょこまか変更している。




2015年9月4日金曜日

友人逝く

詳しい事はまるで知らされていないのだが、地方紙で友人の葬儀欄を見た。

逝きやがった。

数々の破天荒なエピソード。書き出せばきりがない。
楽しい奴だったが、どこか破滅的な匂いのする奴だった。

最後に逢ったのはいつだったか・・・・。
どう言う所できっかけが有ったのか思い出せないが、とにかく久々だったので別れがたく、近くの国道沿いのファストフード店で小一時間話をした。

ソレ以降の事、今はどこで何をしているのか、前を向いているのか・・。
聴きたい事は山ほどだったのだが、少し寂しげな奴の笑い顔を見ていると、聞き出せなかった。
 
それでも「大丈夫だ、建築の仕事してるよ」と聞いて安心しようと思った。
それから10年は経っている。