2013年1月19日土曜日

薪を少しまじめに考える



知り合い企業の薪ボイラーの基本構造はこんな風になっていた。
オレンジ色が心臓部。小型ボイラーたる基準をクリアすべく圧力や強度・変形などの考慮が成されている。

でもね、性能を云々される燃焼機関たるもの、この程度でいいのんか?と思ってしまったのだ。これでは確かに別付けのばい煙防止装置が必要になる。

さらに、燃料が原始的な「薪」だからなのか、その燃焼制御に関しては頭を捻ってしまった。ヤバイ虫が騒ぐ・・。

昨年秋ぐらいから、建築のインテリア相談でも、薪ストーブに関して機種の選別を頼まれていたのだけれど、お勧めできる物は非常に少ない。建築が気密になっている事から、燃焼方法が従来通りでは対応できないのだ。

同様に、この薪ボイラーはボイラー室自体が熱くなる。これはボイラーの熱が漏れていると言う基本的な所で、すでにイカン。熱源として管理できていない、そして危険だ。

で、この近辺にそう言う事に詳しい人を探してみるとこれが居ない。これは木材資源の町を標榜するにはチト寂しいし、みすみすそのエネルギーを見逃している事になる。「学」には居るのかもしれないが、以前この分野の助教から面と向かって「アンタ嫌い」と言われているので、とても畏れ多くて近寄りがたい。その理由はペレットネタの時、こんな事だった。

  • エネルギー関連での木質系バイオマスでよく聴く「カーボンオフセット」やら「グリーンエネルギー」やら、身近な所で実感できない話はひとまず置いておきたい。御説ごもっともなのだが、科学なのか事実なのか思想なのか宗教なのか政策なのか・・・鈍感なので実感できない。
  • その数字根拠を100%信頼出来るか?どこかで誰かが恣意的に操作して居る風なチト怪しいところがあるので、そう言う説もありますよ、っうレベルで僕は留めておきたい。
  • 権威ある人かも知れないが、どこかの誰かの論文を丸呑みは出来ない。「学」と違って民間には結果責任がある。

そういう態度がよろしくなかったようだ。「学」とはそれ以来行き来がない。

という事で、薪と薪ボイラーと薪ストーブを考えて見る。

燃料      kcal/h     価格    効率   コストパフォーマンス
薪(間伐材) 3,800 kcal/h 15円/kg  50%   127 kcal/円
灯油     8,200 kcal/h 70円/L  80%     93 kcal/円

薪のボイラーと言うちょっと珍しいタイプのボイラーだったので導入当時、建築に関係もないのに見学させてもらっていた。ほぼ原木に近い間伐材を人手をかけて薪にしていたのを見て、コストに見あうのだろうかと心配になり、当時、自分で勝手に比較したものが上の数字。

(3,800kcal/hは含水率20% 価格は¥15万÷10tトラック=¥15/kg。効率はボイラーやストーブなどの機器精度が原始的であまり制御できていない様に見えるので半分に見た。)まぁ、人件費を入れてギリギリセーフ・・だった。

ところが、もはや灯油は90円/L。コストパフォーマンスは更に落ちて73kcal/円にまで落ちた。そして石油価格は今後共下がる見込みが無い。この企業の選択は成功していた。

確かに薪は悪くはない。という事で機器の性能を20%上げ、現在価格にするとこういう数字になる。
燃料     kcal/h      価格   効率  コストパフォーマンス
薪(間伐材) 3,800 kcal/h 15円/kg  70%  177 kcal/円
灯油     8,200 kcal/h 90円/L   80%    73 kcal/円

僕が出来るのは機器性能UPのみ。価格は市場が決める事。
実は薪は10円/kgを下回ることもあるので266kcal/円。
ざっくり言うと、3.5倍以上もコストパフォーマンスが良いのだ。

課題は気流関連を含めた燃焼システムと筺体。
異分野だからこそちょっと面白い。専門外?ハタから見ればそうなんだろうなぁ・・・。


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