2013年7月14日日曜日

薪ストーブを真面目に考える-1


Wood-burning stove:薪ストーブ。


国では(あんまり色々考えずに)ゼロ・エネルギー住宅を目指すようなことを言っているけれど、いくら高度な断熱やパッシブソーラーエネルギー等の応用程度では、東北以北の住宅は賄えない。必ず何かのエネルギー補充が必要になる。

しかしこの地域は、国の民生エネルギーの30%を消費しているにもかかわらず、人口が1/10程度なので、政治家達は経済的あるいは票に繋がらないことで、また官僚たちも無知と不作為から、寒冷地に対してのエネルギー政策は薄い。

で、今現在の、関連する北海道林業の状況を踏まえつつ、一つの打開案として、「北海道向けのFF式温水ボイラー兼薪ストーブ」。基本設計ようやく終了。とりあえずは今の所は建築設計者(なのか?)なので、建築側から視点をすえて見た装置。将来の建築展望に対応したもの(現段階で見落とされている建築側の弱点を補完させるものでも有る)。

前にも書いたけれど、エネルギーコストが灯油の1/2-1/4。当然電気よりも安い。太陽熱発電などで売電したとしても、その売電コストは実は発電していない人が負担する。今現在は国も無策で、他人に負担をかけても自分だけが良ければ良いとの不平等なカラクリ。良心があればとても勧められない。


でも、エネルギーなしには誰もこの地方では生活できないので、この薪ストーブは一つの方法論。



ある程度きちんと燃焼するものは、煙突付きだと安くても50万以上。もちろんそれらは高級品でほとんどが海外製品。そして、地球温暖化対策と大気污染防止に資するコベネフィット技術等の評価検討業務報告書(環境省書類:何でこんな長いんだ)などをチラ読みすると、燃焼機の規制は従来よりもはるかに難易度が高くなりそうだ。まだ確定的ではない日本が立てる規制は、多分ヨーロッパに足並みを揃えてなどと、根拠のない横並びをするのが常。

クリアできるのはストーブの中でも多分少数。この機械はそういう状況を踏まえ、出来るだけその規制もクリア(実はもっと欲張っている)も視野にいれてデザインした。(もちろん実験実証を重ねなければならないが・・)

バイオガスもチンタラ試行錯誤してみたけれど、設備コストが高価になり合わない。産業上のボイラーでも損益分岐点は遠くにあり、ひとつの団地全体サイズで、他のグリーンエネルギーシステムと併用した「地域エネルギー複合的コジェネレーション」レベルでやっとだった。バイオガスやペレットのように補助金の中でしか泳げないのでは、真のエネルギー対策とは言いがたいので、原始的な「薪」にこだわった。

そして、現段階での最先端と言われる建築的省エネルギーの、ソフトウェアに頼った熱収支やその辺の気象や環境数値のやりくりだけでは、快適性が得られるはずがない。それらの数値は指標であって、それも温暖地との数値比較でしか無い。感覚などへの裏付けは現在でも希薄。北海道の家での快適性は、やはり北海道に住む者でなければ創れないのだと思う。

昨日、ある企業に持ち込んだ。ほぼ一時間。昔はプレゼンには自信があって、2枚程度の資料で説明できたのだが、今回は内容が盛り沢山だったのとまるで異業種に持ち込んだ事もあって、全てを伝えることは出来なかったけど、僕の妄想にお付き合いいただいて、何とか一緒に遊んでみようかという方向にたどり着いた。

う~ん、年齢かなぁ、腕が落ちてきたのを実感したので、その後あるシンジケートで憂さ晴らし。


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