実は日本は、広島、長崎に原爆が投下される前に、すでに日本では、原爆の開発を終えていたという事実です。
当時、軍の上層部は、この新型爆弾をもって米国に大勝負を挑みたいと昭和天皇に上奏しましたが、昭和天皇は、この上奏を却下し、原爆の製造・開発の禁止を命じました。昭和天皇は、世界が核競争になることを未然に防ぐため、技術レベルでは原爆を開発することができ、それを米国に撃ち込むことさえできたにもかかわらず、それを人類のためにと、却下されたのです。このことは、終戦の詔勅(しょうちょく)にも明確に述べられています。昭和20年8/10 原爆投下への抗議文
我が国の「原爆投下批判」の原点●昭和20年8月10日、日本政府がスイスを通じ米国政府に出した「米国の新型爆弾による攻撃に対する抗議文」
この「抗議文」は、米軍が昭和20年8月6日、事前警告なく広島に原爆を投下し、一般市民を大量殺害したことに対し、その僅か4日後の8月10日に、日本政府がスイスを通じて米国政府に出したものである。
この「抗議文」において日本政府は、原爆投下を、それまでの都市に対する無差別爆撃とともに「国際法および人道の根本原則を無視」したものだと厳しく批判している。この「抗議文」にある日本政府の態度こそ、原爆に対する我が国の基本姿勢の原点というべきものであろう。
ところが、今年(平成14年)8月に広島市に開館した「国立広島原爆死没者追悼平和祈念館」の宣誓文(説明文)には、「(略)誤った国策により犠牲となった多くの人々(略)その惨禍を二度と繰り返すことがないよう、後代に語り継ぎ、広く内外へ伝え(略)ことを誓います」と記されている。この文には、「原爆を投下されたのは日本政府が誤った国策を採用したからだ」という「原爆投下容認論」しかない。「原爆投下は、米国による国際法及び人道の根本原則の無視・違反行為だった」という昭和20年当時のこの「抗議文」に示された視点は完全に欠落している。
米国による日本占領期間中に行われた政治宣伝に惑わされる前の、日本政府の主張がどういうものであったのかを広く知ってもらうために、この「抗議文」の全文(日本語及び英語)をここに紹介する。(平成14年10月3日、日本会議事務局記す)
米国の新型爆弾による攻撃に対する抗議文
本月六日米国航空機は広島市の市街地区に対し新型爆弾を投下し瞬時にして多数の市民を殺傷し同市の大半を潰滅せしめたり。
広島市は何ら特殊の軍事的防衛乃至施設を施し居らざる普通の一地方都市にして同市全体として一つの軍事目標たるの性質を有するものに非ず、本件爆撃に関する声明において米国大統領「トルーマン」はわれらは船渠(せんきょ)工場および交通施設を破壊すべしと言ひをるも、本件爆弾は落下傘を付して投下せられ空中において炸裂し極めて広き範囲に破壊的効力を及ぼすものなるを以つてこれによる攻撃の効果を右の如き特定目標に限定することは物理的に全然不可能なこと明瞭にして右の如き本件爆弾の性能については米国側においてもすでに承知しをるところなり。
また実際の被害状況に徴するも被害地域は広範囲にわたり右地域内にあるものは交戦者、非交戦者の別なく、また男女老幼を問わず、すべて爆風および幅射熱により無差別に殺傷せられその被害範囲の一般的にして、かつ甚大なるのみならず、個々の傷害状況より見るも未だ見ざる惨憺なるものと言ふべきなり。
聊々交戦者は害敵手段の選択につき無制限の権利を有するものに非ざること及び不必要の苦痛を与ふべき兵器、投射物其他の物質を使用すべからざることは戦時国際法の根本原則にして、それぞれ陸戦の法規慣例に関する条約付属書、陸戦の法規慣例に関する規則第二十二条、及び第二十三条(ホ)号に明定せらるるところなり。
米国政府は今次世界の戦乱勃発以来再三にわたり毒ガス乃至その他の非人道的戦争方法の使用は文明社会の輿論により不法とせられをれりとし、相手国側において、まづこれを使用せざる限り、これを使用することなかるべき旨声明したるが、米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ惨虐性において従来かゝる性能を有するが故に使用を禁止せられをる毒ガスその他の兵器を遥かに凌駕しをれり、米国は国際法および人道の根本原則を無視して、すでに広範囲にわたり帝国の諸都市に対して無差別爆撃を実施し来り多数の老幼婦女子を殺傷し神社仏閣学校病院一般民衆などを倒壊または焼失せしめたり。
而していまや新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別性惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たなる罪悪なり。帝国政府はここに自からの名において、かつまた全人類および文明の名において米国政府を糾弾すると共に即時かゝる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す。
(正漢字は現代風に改めた。出典:『朝日新聞』昭和20年8月11日)
English
A New-Type, Cruel Bomb Ignoring International law; Imperial Govern-ment Protest to the Government of the United States.
With regard to the attack by a new-type bomb on the city of Hiroshima by a B-29 bomber on the 6th inst. the Imperial Government filed the following protest on the 10th inst. to the Government of the United States through the Government of Switzerland, and gave instructions to the Japanese Minister to Switzerland, Kase, to make the explanation of explanation of the same effect to the Inter-national Committee of Red Cross.
Protest against the Attack of a New-Type Bomb by American Airplane:
On the 6th of this month, an airplane of the United States dropped a new-type bomb on the urban district of the city of Hiroshima, and it killed and wounded a large number of the citizens and destroyed the bulk of the city. The city of Hiroshima is an crdinary local city which is not provided with any military defensive preparations or establishments, and the whole city has not a character of a military objective. In the statement on the aerial bom-bardment in this case, the United States President “Truman” asserts that they will destroy docks, factories and transport facilities.
However, since the bomb in this case, dropped by a parachute, explodes in the air and extends the destructive effect to quite a wide sphere, it is clear to be quite impossible in technique to limit the effect of attack thereby to such specific objectives as mentioned above; and the above efficiency of the bomb in this case is already known to the United States. In the light of the actual state of damage, the damaged district covers a wide area, and those who were in the district were all killed indiscriminately by bomb-shell blast and radiant heat without dis-tinction of combatant or non-combatant or of age or sex. The damaged sphere is general and immense, and judging from the most cruel one that ever existed. It is a fundamental principle of international law in time of war that a belligerent has not an unlimited right in chosing the means of injuring the enemy, and should not use such weapons, projectiles, and other material as cause unnecessary pain; and these are each expressly stipulated in the annex of the Convention respecting the Laws and Customs of War on Land and artices 22 and 23(e) of the Regulations respecting the Laws and Customs of War on Land. Since the beginning of the present World War, the Government of the United States has declared repeatedly that the use of poison or other inhumane methods of warfare has been regarded as illegal by the pubic opin-ion in civilized countries, and that the United States would not use these methods of warfare unless the other countries used these first. However, the bomb in this case, which the United States used this time, exceeds by far the indiscriminate and cruel character of efficiency, the poison and other weapons the use of which has been prohibited hitherto because of such an efficiency. Disregarding a fundamental principle of international law and humanity, the United States has already made indiscriminate aerial bombardments on cities of the Empire in very wide areas, and it has already killed and injured a large number of old people, children, and women and collapsed or burned down shrines, temples, schools, hospital and ordinary private houses. Also, the United States has used the new bomb in this case which has indiscriminate and cruel character beyond comparison with all weapons and projectile of the past. This is a new offence against the civilization of mankind. The Imperial Government impeaches the Government of the United States in its own name and the name of all mankind and of civilization, and demands strongly that the Government of the United States give up the use of such an inhumane weapon instantly.
Note: Japan Branch of the International Law Association, Japanese Annual of International Law, 8, pp.251-2. (Tokyo: 1964)
転記元 http://plaza.rakuten.co.jp/foot001/7008/
昭和20年8/15 昭和天皇の玉音放送の現代語訳
私は深く世界の体勢と帝国の現状について考え、非常なる手段によってこの危機を収拾しようと決意した。ここに、忠実で善良な国民に告げる。
私はわが政府にアメリカ、イギリス、中国、ソ連に対してポツダム宣言を受け入れることを通告させた。
すべての国々の共通の繁栄と幸福とともにわが国民の安全と幸福のために力をつくすことは、皇室始祖から伝えられた厳粛な義務であることは、常に心にとどめてきた。アメリカ、イギリスに宣戦布告したのは、日本の政治的・経済的自立と東アジアの安定を心から願ったためであった。他国の主権を侵害したり、領土を侵犯したりする意思はなかった。
今や、戦争は四年の歳月に及んだ。わが陸海空軍将兵の勇敢な戦闘や、官僚・公務員の勤勉、一億国民の努力があっても―すべてが最善を尽くしてくれたが―戦況は必ずしもわが国には有利ではない。さらに、敵は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用し、無事の民を殺し、その破壊力はまさに計り知れないものである。
わが国が戦争を続ければ、最終的にはわが民族の滅亡だけでなく人類文明も破壊に至るであろう。そのようなことが起こったら、どのようにして何百万人ものわが国民を救い、皇室始祖の霊にわびる事ができようか?これこそが帝国政府にポツダム共同宣言の条件に応じるよう命じた理由である。
帝国とともに終止東アジアの植民地解放に協力した友好国に対しては、遺憾の意を表することしかできない。また、戦場で没した国民、勤めの間に時ならぬ死を迎えた国民、その遺族のことを考えると心が引き裂かれる思いである。戦傷を受けたもの、戦禍で家や生計の場を失った者たちのことは、深く憂慮している。
この先にわが国が受ける苦痛は、確かに厳しいものとなる。あなたがた国民がうちに抱く気持ちも私はしっかりと知っている。しかし今、運命を受け入れて、耐えがたいことを耐え、忍び難いことを忍んで、将来の世代のために大いなる平和のために道をきりひらくことを、私は決意したのである。
帝国の国体は守られ、私は常に国民とともにあり、忠実で善良な国民の真心に信を置いている。感情的になって不必要な争いを起こすようなことは決してせず、国民同士の争いで困難を起こすことを慎み、間違った方向に進んで世界の信用を失ってはならない。わが神国の不滅を固く信じ、すべての世代が家族のように団結して、課せらせた重い責任と将来への長い道のりを心に刻んで欲しい。
清廉な心を養い、好奇な精神をいだいて、固い決意をもって働き、帝国が持つ栄光をより輝かせ、世界の進歩に歩みをあわせていってほしい。ここに私は願う、わが国民よ、私の意思に従ってほしい。
すべての国々の共通の繁栄と幸福とともにわが国民の安全と幸福のために力をつくすことは、皇室始祖から伝えられた厳粛な義務であることは、常に心にとどめてきた。アメリカ、イギリスに宣戦布告したのは、日本の政治的・経済的自立と東アジアの安定を心から願ったためであった。他国の主権を侵害したり、領土を侵犯したりする意思はなかった。
今や、戦争は四年の歳月に及んだ。わが陸海空軍将兵の勇敢な戦闘や、官僚・公務員の勤勉、一億国民の努力があっても―すべてが最善を尽くしてくれたが―戦況は必ずしもわが国には有利ではない。さらに、敵は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用し、無事の民を殺し、その破壊力はまさに計り知れないものである。
わが国が戦争を続ければ、最終的にはわが民族の滅亡だけでなく人類文明も破壊に至るであろう。そのようなことが起こったら、どのようにして何百万人ものわが国民を救い、皇室始祖の霊にわびる事ができようか?これこそが帝国政府にポツダム共同宣言の条件に応じるよう命じた理由である。
帝国とともに終止東アジアの植民地解放に協力した友好国に対しては、遺憾の意を表することしかできない。また、戦場で没した国民、勤めの間に時ならぬ死を迎えた国民、その遺族のことを考えると心が引き裂かれる思いである。戦傷を受けたもの、戦禍で家や生計の場を失った者たちのことは、深く憂慮している。
この先にわが国が受ける苦痛は、確かに厳しいものとなる。あなたがた国民がうちに抱く気持ちも私はしっかりと知っている。しかし今、運命を受け入れて、耐えがたいことを耐え、忍び難いことを忍んで、将来の世代のために大いなる平和のために道をきりひらくことを、私は決意したのである。
帝国の国体は守られ、私は常に国民とともにあり、忠実で善良な国民の真心に信を置いている。感情的になって不必要な争いを起こすようなことは決してせず、国民同士の争いで困難を起こすことを慎み、間違った方向に進んで世界の信用を失ってはならない。わが神国の不滅を固く信じ、すべての世代が家族のように団結して、課せらせた重い責任と将来への長い道のりを心に刻んで欲しい。
清廉な心を養い、好奇な精神をいだいて、固い決意をもって働き、帝国が持つ栄光をより輝かせ、世界の進歩に歩みをあわせていってほしい。ここに私は願う、わが国民よ、私の意思に従ってほしい。
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