2013年8月16日金曜日

木造のフラットスラブ

デザイナー視点から木造でのフラットスラブを考えたメモ。
実際の採用頻度は少ないけれど、これも可能。

フラットスラブは「梁のない構法」。大梁小梁の出っ張りがない比較的薄い、鉄筋コンクリート専用の床構法です。木造では似たような系統物は格子床。デザイン的にはそれのほうがウケが良いのだけれど、今回も媚びないで行きます。

構造体ジョイントはソリッドジョイント集成材(全断面応力型ラーメン構法=グリップフィンガージョイント接着=今、考えているもの)



丸印が柱。均等な荷重がかかっている床。
大梁小梁を採用しないので、中央部が一番軽く、
柱に向かって順次荷重負担が増えていく。

現段階では断面算定をしないので、とりあえず9m×9mの大きさでの形態シュミレーション。

この正方形を、最小の労力で効率的に支える方法とは・・これが課題。

本当は有限要素のプログラムで、形態適正化を行えばいいのだけれど、そのプログラムが今の所無いので、擬似的に。(もちろん依頼があれば作ります)

正方形なので1/4にして考え、均等に90cmグリッド分けすると荷重負担が軽い方から7段階。

(鉄筋コンクリートの床ならば円形に沿って厚くしていけばいいだけ。)

1の床荷重は2のエリアに伝わり、2の床荷重と合算される。
2の合算荷重は3に伝わり3の床荷重と合算される。
以降同じ。




公式で言うとこれ。

1/4で考えているので、Bが柱の部分一箇所で、Aが沢山あると言う感じです。この公式を水平方向に絡める。

それぞれの荷重を受けやすい構造単位で割って支持梁の本数(枝)を出し、その先端に繋がる枝単位を加算した枝の太さを算出。(どんだけ繋がっているんかいなと言うこと)

ここで有限要素プログラムがほしい所・・、多分ここが一番脂っこいところなのですが、説明するにも大変ですし、説明したところでわかってもらえないと思うので省略。

地震などを考慮すると、若干部材が増えるのですが、重さだけならとりあえずこういう形。

シュミレーションなのでちょっと複雑。実際にはもっと簡略化するはず。(簡略化するプログラムが・・)

このメリット?
これ、形は面倒なのだけど、力のルールはたった一つ。

構築物として、こんな一つの公式で出来てしまうと言うのは、あまり例がない。常に複数です。

今でもそうですが、沢山の部材を作るのはコストが掛かかります。

でも、設計や製作にコンピューターが用いられるようになって効率が良くなれば、それも逆転するでしょう。

精度の良い計算が出来、それに応じた、過不足のない建設材料の配分が行われると、コストは大きくダウンします。
軽くて丈夫で安上がりな方が良いに決まっています。(今その途中)


フラットスラブ構築例
こういう形。

特徴的なのは一番外側の梁。
細いです。

プロは多分、ここでナンジャコレ!ですね。

普通は真ん中周辺を受け持つ小梁を受けるため、大梁として太くしますが、その考え方とは違います。


上から見ると、外周の中央部分の、この部分は端っこに有るので一番負担面積が少ない。だからこれでイイんですよ。(確かに一般建築では一番太いですね。ここが太ければ安心感も増す?)


中央付近から見上げる

架構の下から

柱の方に行くに従って、部材が太くなっていくのがわかります。

もう、ほぼ何をモデルにしているか想像できますよね。一番合理的な構造物

柱を集めると木?










この4本の柱モデルを、柱を一箇所に集めるとこんな風。



は、公式で言うと、固定端(ラーメン)片持ち梁だけで出来てます。

でも、同じ構成の配列を変えただけですが、上の方に有る4本柱の方が安定度があるのは、直感でわかりますよね。







木は元々このような形を目的にしてきた素材です。この場合は「重さ」を基準に枝を配置しましたが、木の基準はそれに加えて目的の「日光」。光合成の為に枝葉を広げてるんですから・・。

この違いは葉序などにも出てきます。複雑に見える配置にもルールがあって・・(またその内)
そしてそれは木の細胞の隅々まで記憶しています。(人間様の方がちょいと間違った使い方をしているのではないかと、最近木が文句を言うので代弁しておきます。)

木を構造材として使う時、それにかける力を、こちらの都合によって、集中させる構造しか今の所世の中には無いのですが、木の性能を引き出すため力を分散し、骨組みの全断面が力に有効に働くようにしてやれば、鉄やコンクリートよりも軽量で丈夫な構造ができます。

いや、別段我田引水したかった訳じゃなくて、床の力を微分的に分析すると、毛細血管や樹の枝植物など、自然物に近くなるということ。それらの数値を能率よく束ねた構造計算が全てではない。数値を束ねたせいで見落としがある。

それと、建築の材料が基準数値が出来上がったものとして、関心が薄いのと、自分の商品を良い建築のためにもっと良くしようと思わない材料メーカーの怠慢も気になる。

それらを視野に入れた上で、結局のところ、製造の難易レベルなどの分岐点をどこにするかだと思います。

コストだけではなく火災時などの安全も含めて。特に集成材構法に関しては、主要構造は金属を使わない全断面応力江法(安全面)、末端の2次部材等は従来の工法(コスト面)てのが、妥当なのではないかと思います。

と言う事で、今回これまで。



0 件のコメント: