すっかり日本でも有名になっちゃったね。ザハ・ハディド。
これは北京に建設される世界最大の空港(LINKは元ネタ、どういう人かこの時点で判る)
ん十年前、この人の才能を一番最初に評価したのも日本人、建築家磯崎新氏。
彼女、昔はとがった直線構成で床も2次元的斜め(片側だけでなくw)だったりして・・。「表現したいことは判るけど、それを【建築】でやるなよ」と思ってた。
彼女の基本、絵画なのよね。それがネタとして建築を使う。ほんとはちょっと建築をいや技術を侮辱している人。
時代が変わり建築家も、一人で何でも出来る人が少なくなって(いや本来そうでなければならないのですが)、分業制やCGの時代に突入すると、色んな人とチームで補う事が普通になった。
そうすると、あ~ら不思議、彼女のそれが「建築的」に見えて来る。ww
いや、他にも実際「絵」で食ってる建築家も多い。ww
中にはあるCGプログラムの、ある一つのプラグインに、デザイン依存している有名建築家(自分では使えない)さえいる。それを使うとそれっぽく見える。見えたら勝!www
ザハもその傾向が有って、彼女のデザイン目的は骨組より「表面の膜」の表情。いや非常にCG依存度が高いせいか、彼女のデザインではなく彼女の案を描いているCGスタッフの傾向が出る。そこには彼女の想定してないCGプログラムのコマンドの癖もある。
通常「膜」は骨組間を連続させる物だが彼女のは違う。そこの違いが判らないと組み立てようがないのだ。(今回の日本側の解釈は面白いぐらい考え方が判っていない)
彼女の事務所が日本の競技場に関してこう言っている。「日本は既存の技術に縛られている」と。
この技術的ギャップ。彼女側の言い分も判る。
安藤氏が理解できていたかどうかは知らないが、彼女は生物的な構造をイメージしていた。ここ10年の彼女の傾向がそうなのだ。
それは現在の国交省がかろうじて認めている(設計業界では面倒なのでやりたがらない)3次元的な自由形状の有限要素法的構造解析手法による構造物だった。
平たく言うと3DCGをベースにした構造解析。現在の日本で行われているのは、その中でもせいぜい建築を計算公式に乗っかるように、線形を組み合わせた3次元モデル。ザハの形を実現させる技術は、線の構造モデルではなく「ソリッドな3次元構造モデル」だ。これは全ての部材をメッシュに切る高度な解析技術なので、日本の建築分野ではまだ一般化はしていない。
まだわかりにくいね。じゃこう言う説明ではどうだろう。
立木がある。これはどのぐらい強さがあるか。曲面のみで構成された自然物の強度。今まではそれを似たような幾何形体に置き換えて計算していたが、リアルな形状での強さを計算すると言う複合的な計算技術だ。
これを正確に計算するのは容易な事ではない。でも3DCGと材料工学と建築構造を融合させる事で、極めて近似値まで計算可能にはなっている。
当然、構造に興味が無いザハはその方法論自体は知らないだろうが、世界にはそれを行う(マネージメントと言う方が適切か・・)建築家が居て、彼女もその存在を知っているのだからしょうがない。現実に日本は遅れをとっているのだ。
原案と、コンペ以降に彼女の案をベースにして日本で書き直した案。
これは一見似ているように見えるけど全く異質な考えによるもの。ザハ側のもヒドイが、日本側の手直しした物もひどすぎる。
ザハはアーチに重力を無視して弾性を求めているし、修正案はこれを剛として、最初から最後まで過剰に同一断面(計算しやすい様に手抜き)にしてしまっている。
修正案。もしも、それぞれの部位に発生する荷重を忠実に構造に負担分布させたなら、こう言う形にはならない。修正案は見せかけの骨組みに固執した結果の、それも過剰設計と言わざるを得ない。
修正案は中央開口リングを外周で支えたドーム。ザハ原案のキールアーチは船の竜骨を意味している。無論本来のキールアーチは水圧に抵抗するので木造船等では基本骨格で太い物だが、重力関係を逆転した空中にあるので本来の骨格的意味合いは無い。
日本の構造者はそこを無駄だと言っている。さもあらん。しかしそれは船の場合のキールアーチであって、空中には空中に有るべき形はあるはずだ。それを見出さずに結論付けるのは早すぎる。日本のこのアーチの方がザハよりもっと意味がない。
大きな違いがある。ザハの屋根膜は膨らんでいて自立しているが、修正案はアーチからぶら下がっている。アーチに荷重を集中させているのが、そもそもの・・・。読み違えの諸問題はここから始まっている。
ザハのはまだアーチから下部のシェル構造あるいはリング構造へと、力を有機形態で分散させるデザイン要素が残されているが、日本のはその検討が無い。だから地下に巨大なタイバーが必要となり地下鉄にまで影響を及ぼす。
例えば、一番高い部分とそれを支える下部の部分では、負担する力は大きく違う。ならばそれぞれの位置で、骨組の密度や骨の太さには差が出来て当たり前なのだ。木に例えれば、先端の梢・枝・幹そのなかでも負担によって全て太さは異なる。この規模の構築物の究極の合理的構造=自然形態は、そうした重力的ルールによる物だ。
中小の構造物にそのシステムを用いるのは部品数が少ない故の製造コスト高になるが、この巨大な規模だからこそ中小とは逆に、「自然の摂理」に従わなければ確実にコストアップになる。
ザハは案の時点ではその事に気が付いていないので、修正する時に「地球上の脊椎動物には全て小骨がある」事を了解させれば良かった。それを修正する機会があったのに「修正案」は、構造的答えを数学的物理的に収斂させる手続きを怠っている。それはアナグラムを作成するかの様に物性と力との往復が予想されるが、それは中々面白い作業だろうに・・(正直やりたいww)
いずれにしても、どちらも理にかなっているとは言い難い強引な構造計画。
これを元に「予算が~」と、ケンケンガクガク。ww
理にかなっていない建築はコストが上がる。これじゃぁな、と言うほかはない。
それにしても国際建築家さん達、正直、情けないよ双方。
周りの無責任さにもね。
関連
ザハのやりたかったこと
これは北京に建設される世界最大の空港(LINKは元ネタ、どういう人かこの時点で判る)
ん十年前、この人の才能を一番最初に評価したのも日本人、建築家磯崎新氏。
彼女、昔はとがった直線構成で床も2次元的斜め(片側だけでなくw)だったりして・・。「表現したいことは判るけど、それを【建築】でやるなよ」と思ってた。
彼女の基本、絵画なのよね。それがネタとして建築を使う。ほんとはちょっと建築をいや技術を侮辱している人。
時代が変わり建築家も、一人で何でも出来る人が少なくなって(いや本来そうでなければならないのですが)、分業制やCGの時代に突入すると、色んな人とチームで補う事が普通になった。
そうすると、あ~ら不思議、彼女のそれが「建築的」に見えて来る。ww
いや、他にも実際「絵」で食ってる建築家も多い。ww
中にはあるCGプログラムの、ある一つのプラグインに、デザイン依存している有名建築家(自分では使えない)さえいる。それを使うとそれっぽく見える。見えたら勝!www
ザハもその傾向が有って、彼女のデザイン目的は骨組より「表面の膜」の表情。いや非常にCG依存度が高いせいか、彼女のデザインではなく彼女の案を描いているCGスタッフの傾向が出る。そこには彼女の想定してないCGプログラムのコマンドの癖もある。
通常「膜」は骨組間を連続させる物だが彼女のは違う。そこの違いが判らないと組み立てようがないのだ。(今回の日本側の解釈は面白いぐらい考え方が判っていない)
彼女の事務所が日本の競技場に関してこう言っている。「日本は既存の技術に縛られている」と。
この技術的ギャップ。彼女側の言い分も判る。
安藤氏が理解できていたかどうかは知らないが、彼女は生物的な構造をイメージしていた。ここ10年の彼女の傾向がそうなのだ。
それは現在の国交省がかろうじて認めている(設計業界では面倒なのでやりたがらない)3次元的な自由形状の有限要素法的構造解析手法による構造物だった。
平たく言うと3DCGをベースにした構造解析。現在の日本で行われているのは、その中でもせいぜい建築を計算公式に乗っかるように、線形を組み合わせた3次元モデル。ザハの形を実現させる技術は、線の構造モデルではなく「ソリッドな3次元構造モデル」だ。これは全ての部材をメッシュに切る高度な解析技術なので、日本の建築分野ではまだ一般化はしていない。
まだわかりにくいね。じゃこう言う説明ではどうだろう。
立木がある。これはどのぐらい強さがあるか。曲面のみで構成された自然物の強度。今まではそれを似たような幾何形体に置き換えて計算していたが、リアルな形状での強さを計算すると言う複合的な計算技術だ。
これを正確に計算するのは容易な事ではない。でも3DCGと材料工学と建築構造を融合させる事で、極めて近似値まで計算可能にはなっている。
当然、構造に興味が無いザハはその方法論自体は知らないだろうが、世界にはそれを行う(マネージメントと言う方が適切か・・)建築家が居て、彼女もその存在を知っているのだからしょうがない。現実に日本は遅れをとっているのだ。
原案と、コンペ以降に彼女の案をベースにして日本で書き直した案。
これは一見似ているように見えるけど全く異質な考えによるもの。ザハ側のもヒドイが、日本側の手直しした物もひどすぎる。
ザハはアーチに重力を無視して弾性を求めているし、修正案はこれを剛として、最初から最後まで過剰に同一断面(計算しやすい様に手抜き)にしてしまっている。
修正案。もしも、それぞれの部位に発生する荷重を忠実に構造に負担分布させたなら、こう言う形にはならない。修正案は見せかけの骨組みに固執した結果の、それも過剰設計と言わざるを得ない。
修正案は中央開口リングを外周で支えたドーム。ザハ原案のキールアーチは船の竜骨を意味している。無論本来のキールアーチは水圧に抵抗するので木造船等では基本骨格で太い物だが、重力関係を逆転した空中にあるので本来の骨格的意味合いは無い。
日本の構造者はそこを無駄だと言っている。さもあらん。しかしそれは船の場合のキールアーチであって、空中には空中に有るべき形はあるはずだ。それを見出さずに結論付けるのは早すぎる。日本のこのアーチの方がザハよりもっと意味がない。
大きな違いがある。ザハの屋根膜は膨らんでいて自立しているが、修正案はアーチからぶら下がっている。アーチに荷重を集中させているのが、そもそもの・・・。読み違えの諸問題はここから始まっている。
ザハのはまだアーチから下部のシェル構造あるいはリング構造へと、力を有機形態で分散させるデザイン要素が残されているが、日本のはその検討が無い。だから地下に巨大なタイバーが必要となり地下鉄にまで影響を及ぼす。
例えば、一番高い部分とそれを支える下部の部分では、負担する力は大きく違う。ならばそれぞれの位置で、骨組の密度や骨の太さには差が出来て当たり前なのだ。木に例えれば、先端の梢・枝・幹そのなかでも負担によって全て太さは異なる。この規模の構築物の究極の合理的構造=自然形態は、そうした重力的ルールによる物だ。
中小の構造物にそのシステムを用いるのは部品数が少ない故の製造コスト高になるが、この巨大な規模だからこそ中小とは逆に、「自然の摂理」に従わなければ確実にコストアップになる。
ザハは案の時点ではその事に気が付いていないので、修正する時に「地球上の脊椎動物には全て小骨がある」事を了解させれば良かった。それを修正する機会があったのに「修正案」は、構造的答えを数学的物理的に収斂させる手続きを怠っている。それはアナグラムを作成するかの様に物性と力との往復が予想されるが、それは中々面白い作業だろうに・・(正直やりたいww)
いずれにしても、どちらも理にかなっているとは言い難い強引な構造計画。
これを元に「予算が~」と、ケンケンガクガク。ww
理にかなっていない建築はコストが上がる。これじゃぁな、と言うほかはない。
それにしても国際建築家さん達、正直、情けないよ双方。
周りの無責任さにもね。
関連
ザハのやりたかったこと
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