2011年7月3日日曜日

パンを焼く

1次発酵
 日曜日の朝はパンと決まっている。
が、買い置きがないので焼くことにした。
カミさんが寝静まった頃ゴソゴソ取り掛かる。
焼くのは菓子パンでも食パンでもない。
表皮の硬いハードタイプのパンだ。





塩だけのオニギリ「白握り」は好きだ。
歳をとるにつけ、妙に簡素なものに惹かれている。
ハードタイプのパンはさしずめそんなオニギリみたいなものかもしれない。

菓子パン食パンに慣らされて、主食用のパンはどんなものだったろうかなどと考えると、それはきっとかなりシンプルなものだったに違いない。

ガス抜き
「白握り」に匹敵するものならば、原料は限られて小麦粉・塩・イースト・糖類・オリーブ油かバター。そしてちょっとやそっとでは変形しないハードなパン。
多分にバリバリとした噛みごたえのある食感だったろう。労働で失った塩分補給も兼ね、多少今のパンより塩分が多かったかもしれない。体が求めている食物が「ウマイ」のに違いない。


などと、真夜中に具にもつかない事を考えながら焼く。


ちなみにパン作りといっても特別な道具を持っている訳ではない。たかがパン。粉とイーストさえあればなんとかなる。



もっと肌理は粗いはず。
ちょっと軟弱だが皮はまぁいい線いっている。
手打ちそばだって同じ。こちらはさらに手早く喰う為のインスタント食品だ。粉と包丁と丸棒さえあればいい。蕎麦の、さも流派や作法があるかのように勿体つけた風潮は滑稽そのもの。これ、ナントカ製粉のレシピじゃないの?あるいは製麺機メーカーレシピ?

プロっぽく正装?したオッサンは野良仕事の合間に手間をかけずに作ったおばちゃんの蕎麦を食ったことがあるのかなぁ。作務衣などを着た亭主が出てくると、判ってやっているのか、それともそんなものでその気になっている恥ずかしい人なのか、意地悪く見定めたくなる。

最初にそば湯だけを注文・・・なんてね、やな客だね。

都市部では本物を知らない客に合わせてもっともらしくプロデュースされたそば屋をよくみる。ニーズに合わせたとのことなんだろうが、そう言う不誠実なデザイナーに一言言いたくなる。「あんたのクライアントだって、進みたい道はこっちじゃなかったはずだよ」と。

カミさんと二人分にしては、ちょっと多い。
と言う事で、パン作りも原始的な丸棒一本とオーブントースターのみ。そのオーブントースターも上京時から同じ、だから40年超。そのころ手に入れた調理器具はナイフや鍋パンなど今だに使っている。

イースト菌もいつ買った物かわからない。2011/1/12だから期限切れ。開封してあったので、一応発酵試験をする。なんともない。これがダメならビール用のイーストを使うつもりだったが必要なし。イケル。自作ビールなど、熱処理しなければそれでもパンは出来る。ただしポップ味。

スローフードブームに乗っかったパン屋さんが「自然酵母で作りました」と唱うが、逆に「んじゃ、人工酵母ってなに?」と真意を小一時間問い詰めたくなる。手近なモノでも酵母タネは出来るけど、舞台裏を見た客はアノ原料の状況をありがたがるのかな・・。それほど「自然」を強調しなきゃならんモンかいな。それなら舞台裏も見せなきゃ。あたしゃとってもその度胸はない。

そう言えば、昔カウボーイが作ったダッチオーブンでのパンは、近代酒造技術の熱処理前のビールを使用したもの。次はそれだな。まずビールイーストを培養=ビールを仕込むか・・・。夏野菜のビール漬けを肴に・・ってのもイイ。

などとうだうだ考えているうち出来た。小さなオーブントースターなのでこの程度の大きさと焼入れが限界。

まぁそれなりのハード。軟弱に卵黄などで艶出しなどはしない。逆に糊化を促進させた表面はカンカンと音がする。夜中なので台所の手元灯のみでの写真。例によって手ブレ補正なしの原始的カメラ。もう少しうまそうな色なのだが・・・。LED灯の欠点が色々見えてくる。

中は、うーん・・・、パンのキメが細かすぎる。工場や機械ではないのだからもっとムラがあって粗いハズ。いわゆるパン教室などで教えるパンならば、上出来の部類なのだが、目的のパンとは違うので残念、失敗作。若干ガス抜きと2次発酵前の成型工程が丁寧すぎたかもしれない。

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