2011年10月29日土曜日

頭だけの建築(Tiny dome)_02


前の記事(スズメの巣)の続き

まったく同じ容積の立方体と効率を比較する。
建築のコストパフォーマンスを比較するとき、よく平面上の面積と価格(いわゆる坪単価など)で比較するけど、それは精度が悪い。

コストは床壁屋根などの表面積と構造にかかる。同じ床面積でも天井の高さなどでコストが変わるので、容積で比較するのが妥当だ。

ちょっと面白かったのでメモ。
赤いのが全く同じ容積の立方体。
特殊条件として、この地方は寒冷地なので凍結深度1mとして、建物容積さは地下1mから使っている。

水色に見える部分は地下部分の断熱材、その上に保護層。いわゆる竪穴式住居。

今風に言うと「Sustainable Ecological Economic Green House」 持続可能で経済的な自然環境適合省エネ住宅・・、てな訳わかんねぇカンムリが付くのだろう・・。
以下、比較と感想&方向性。


表面積と容積の比較は右の表。
かいつまむと(webでは概要のみで限界)、表面積は3割少なく、底の床面積は1.4倍広い。

コスト的にひどくザックリ単純にいいかえれば、表面積材料総合コストが3割高くし立方体と同じコストになっても、1.4倍広い。温暖地域であるならばこの数字はさらにドーム側に有利となる。ここまでは古典的な単純幾何。

もう少し建築的に言うと、立方体の場合この他に内部の柱とか梁などの構造コストがある。それに比べドームはシェル、この表面構成材がそのまま構造体になる。基本、内部には柱もない。コスト配分面では、一般的建物は構造体や断熱材・化粧材など、用途別部位に分離してイメージされて、それに応じて役割や、コスト要因となるや時間・人件費などが配分されている。この構造は1枚の中に全てを盛り込むための難しさもあるが、一般的建築に無いいくつかの有効な相乗効果が期待できる。

大きければもっとメリットがあるのだが、この規模ならばどれだけつくりやすくするかの人件費側のコストの方が重要になってくる。

つまりは方法論次第。試しに完成までの全工程を考えると、例えば1.8×5.4m高さ90cmのベニヤ板の作業台がひとつあれば、構造部材の全工程を作ることが出来る。その組立工程種別は一種類しかない。厳密な精度が要求される合板をCNCでプレカットすればあとは単純作業。これは魅力的ではないか?。搬送も 2t~4t トラックで 2~3台分。

やる気さえあれば日曜大工でも可能な規模だと思う。ただし、法規制がかかる地域や用途ならば、この根拠となる構造計算などかなり詳細な設計図書が必要となり、それなりの専門知識が必要。またデザイン面では、ただの広間なら考えることも少ないが、曲面空間の中でしっかり住もうと言うのであれば、その工学面や心理面での設計はそう簡単ではない。まぁ、用途として倉庫・宴会場・店舗ならば無難なところと思う。

利点は多くあるのだが、この古典的でもあるドーム類が一般的に普及しなかったのは、材料コストの面ではないはず。設計が難しいと思ったのか?作り方が判らない=簡単に建てられない→高価との理由だったのか?いや、もしかすると、考えるのが嫌で、最初からあきらめる、あるいは選択しない、と言うケースだったのか・・・。

正直言うと、普及してないのだからデザインの展開例も少なく魅力的に感じてもいなかった。この検討は、自分への蓄積を兼ねての、ちょいとした暇つぶしだったのだが、どうやらハマってもよさそうだ。

コストや環境工学的検討にはちょっとばかり方向性が見える。まだ構造計算には手を付けていないが、その台本も出来上がっってしまった。勢いに乗って、海外風に「求む!パートナー!」と行きたいところだが、ま、ぼちぼちやるサ。
Posted by Picasa

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