2015年9月16日水曜日

安全は誰もが手に出来なければならない。(アースバッグ工法再考)

安全は国民の権利。

とは大上段に言っても、条件状況が異なればその実現は簡単ではない。国や自治体が常に保障してくれる訳でもない。


土砂災害が起きるたびに、そしてちょうど昨年の広島の土砂崩れで沢山の犠牲がでた時、これをまとめていた。

宅地造成法


土砂崩災害が現実に起きている事は、国土交通省の宅地造成法に誤りや見落としとまでは言えるかどうかは分からないが、今まで通りで良いわけがないのだ。

災害ハザードマップ・災害危険指定区域を慌てて作って、その中を規制するとかはしているようだが、規制したところで現にそこに住む住民には何の処置もしていない。

造成許可を降ろしていながら、災害危険指定区域とする。この矛盾にも応えていないだろう。そしてその「土」の技術的改革が有るのかないのかと言うと、進歩は全く見られない。

河川の増水で堤防が決壊したが、この技術も「土」を甘く見ているのが報道で判る。

アースバッグ工法の応用

アースバッグ工法はアメリカのNASAが、人類が他の星に移住する際、どうシェルターを作るかと言った方法論の一つ。(ソイルバッグも同じ理念)

人類が他の星に降り立った時、唯一そこにある建設材料、「土」の工法だ。
簡単なこれを使って、従来の「土」に、支持構造体としての性能を持たせていく。必要な物は土嚢袋と、土と若干の土質改良材(安価=石灰・セメントなど一般的市販品)

誰もが入手できる材料で、簡単かつ経済的に専門の業者を必要とすることなく、安定した土質と地形を維持する工法を得る事が出来る。必要な物は草木を愛でる様な日常的視点あるいはメンテナンス。補修もさらなる補強も簡単だ。

近年になって、それは自然派、サスティナブル工法とかグリーン工法などと合流し、各地で建設の動きがある。しかし、そう簡単に普及は進まない。

その理由は3点。

  1. 「建築」となれば法規で安全を確保し規制しなければならない。
  2. 他の建築工法のようには利益が出ない。
  3. 熟知する技術者が少数

事に由来する。
(よくわからないのだがどうやらこの工法でも利権を争うグループが出てきているようだ。商売になり始めたという証拠か(笑))


ガーデニングと同じレベルの技術で安全を積み上げていく。

この書類は昨年作成した物。ある災害危険指定区域で、安価に住民が協力して確保していける難易度の安全確保の方法論である。ガーデニングの様に日常的作業技術範囲で住民自ら安全を確保していく。安全は本来そう言ったものでなければならない。

宅造法ではコンクリートとブロック擁壁しか記載例がないが、昨年アースバッグ工法で、一般擁壁同等の安全を確認するならば、許可されるのだろうかと言う試みを行った。

前例はないだろう。それは判っている。しかし、この工法ならば多大な政策予算や工事費を費やすことなく、確実に住民環境の安全をかさ上げできる。安全対策予算に苦しむ地方自治体にだって有効なはず。そう言う視点でこの構造計算を審査してほしい。理解できなければ上級省庁に相談してほしい。

昨年はそうお願いして提出した。
結果は「見たことない」で、終了(笑)

今年も8月に、この工法ならばどうなのか。結果は「土嚢なんて」と頭から否定されている。
それは、技術的な見地から物を言っているのか、それとも狭量さからなのか!と食い下がるが、一考する気もないらしい。

そして、災害危険指定区域に指定したから自分達には責任が無い。住民負担が多かろうとも、自分達が認めた工法で無ければ許可しないと言い切った。
住民負担の重さがどうでもいい?何を言うのか。

行政なら、なおの事技術的見地で見るべきだと反論した。彼らが言う技術根拠は「素材・材料」でしかない。コンクリートは土よりも丈夫。その程度の技術観点で安全を語るなと言いたい。

しかしながら、役所が障壁になったその工事は、どうでもいいから早くケリ付けてというオーナー側からの要望で、この工法は流れてしまった。(ごもっとも・・)

役所の技術革新はボトムアップでは出来ない。
これは前から判っていた事だがこれでは住民は救われない。
災害危険指定区域で固定資産値が下がり、許認可で拘束、工事費は高価格になる。

河川被害のニュースを見ながら、こうした住民生活を守るには、制度設計だけじゃなく、やはり色んな分野のパートナーは必要だと思う。  つくづく(笑)

都市部なら集められるのだろうが・・・・(笑)

今後のすべき事は「自助工事的アースバッグ工法」を誰でも利用できるよう整備する事。
さてさて・・・

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