2015年9月7日月曜日

sketchup 構造系のプラグインでちょこっと描く


Sketchup T2H Building Structure Tool と言う素晴らしいプラグイン。
(前記事からの続き)
この完成度を見てると新たに描くのも滑稽に思えて来た。
むしろ、これをベースに自分なりの使い方をしてみる方が早いかもしれない。
プラグイン自体にパワーがある。
 
sketchupで3次元モデルを作る場合、よくある方法では平面図の輪郭面に高さを与えて3次元化する。
これは手っ取り早くパースを得る方法として一般的になっている。
意匠系の人はそれで十分なのかもしれない。
僕も意匠系なのでそう不便を感じてはいないのだが、その3Dモデルはそれ以上の用途には使えない。せいぜいパースと平面立面展開図と、いわゆる意匠のみ。
この方法で作られたデーターではマスターデーターベースにはなれない。

世の中の建築家には意匠系・構造系と分かれていて正直言うとその分類は間違っているんじゃないの?と思っている。
構造が分からなくて(責任を持てなくて)デザインするってのは感心できないのですよ。

新国立競技場の騒ぎはまさしくそれ。そう言う常識がまかり通っているから起きた事。
「デザイン屋さんもきちんと造形に責任をもてよ」基本的にそう思っている。

だからsketchupも平面図から起こすなんてことはしないで直接3Dモデルを描いている。
2次元CADは書類に出すとき、あるいは2次元CADしか使えない人とのコミュニケーションに使っている。その方が構造的な検討などにも有利で食い違いがない。
その後、結果としての図面を吐き出せばいい。図面はものを作るときの伝達の方法論であって、それが目的ではない。「図面屋さん」とは少し考え方が違う。

で、下は簡単な基礎例(北見地方仕様)


北海道仕様のデーターで描いてる(こんなのは付いて無い、オリジナル)

この3Dモデルは構造系プラグイン(作者の視野の広さが判る)を使ったので、簡単な基礎とは言えど、すべての構成部材に符号が入る。これは構造計算をする時に負担面積や荷重などを検討するのに有利。意匠系の平面に高さを与えるものではまた再度作図をしなければならない。
またコスト検討の時も構成部材単体が分離していなければ複合単価だって活きてはこない。
エネルギー計算だって、東西南北では条件が違うのだ。

jw_cadが作られる以前、CADマスターデーターベースと言う構想を持っていた。
その当時の国産cadにはそう多数のレイヤーは無かった。autocadは無限にレイヤーが作れるので、せめてjw_cadはグループ化した多層レイヤーにしてくれとお願いした覚えがある。今のレイヤー構成はそうした意見を汲み上げてもらった物。だから256レイヤーの他に線色数と隠文字数を掛け算で十分に描き分けられる。

結局のところ3DCGも2DCADも、描くときは省力化しながら、どれだけ正確でかつ現実に即した情報を沢山込められるかに尽きる。よほどの他のデーターベースとの照合システムがない限りは、省略してとかまとめてと言うのは、スターデーターベースにはなり切れない。

或るソフトウェア会社に頼まれて、そう言うソフトの開発スケジュールを組んだのだが、CADの黎明期すぎて没った。今の時代なら可能なんだろうね。そう言った意味でこのプラグインは汎用性が高い。

プラグイン側の記号とコメント・マテリアル・任意名称、それに基本の任意無限のレイヤーとダイナミックコンポーネントの任意の属性付加で「どうなっちゃうんだろ」と言うぐらい拡張性がある。BIMにはもってこいだなぁ、と改めて思う。

左画像はマークした基礎部材のアトリビュートをエクセルで読んでいる図。一部材で210行ある。(まだ何が書いてあるのか理解してないww)

いずれにしても部材に、このぐらいの属性が付加出来れば工程管理・資材調達時期のコントロール・工事資金管理など、建設業全般に活かせる。(何を言ってるのかって?www)

いや、このプラグインはこうした僕の妄想にも対応してくれる物。これは今までになかった。素晴らしい!



おまけ
ある仕事で面白い事が有った。
平面図が出来、その次立面図が出来、その後展開図が仕上がっていく。そう言う風に思い込んでいる客が居たのだ。(昔はそうだった)
いわゆる「設計事務所をうまく使うためのマニュアル」を信じ込んでいる。
そう言う客から見ると、3Dでの打合せはこころもとないらしい。

「あのですね、僕は何でもデザイン屋なんですよ。図面なんてものは作る物が決まった結果なので、詳細までの検討が終わった後でいいじゃない。」と言っても聴かない。

仕方がないので途中で2次元図面を吐き出すと、数値も全て出ているのに意味不明の変更の嵐。より現実的なデーターや打ち合わせた内容より、実際には見えない記号化された2D図面の方が信用できるとは・・。2D図面だけが正確な物と信じている。いや僕がやっているのは、それらの欠点を補うための方法論。現在は正確無比なんだが・・。思い込みとは恐ろしい。

まぁ、どんなマニュアル本なんだか知らないが、遅れている事はなはだしいのと、いわゆる既定の図面が欲しいだけなのにも呆れた(頭が固すぎるのと権威主義、活字を信用しすぎる)のと、実際の現場トラブルが予感されたのでこちらも降りた。

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