2015年12月17日木曜日

専門家とのギャップを感じる。

放射熱計算なのだ

熱放射とは、気体、液体または固体を構成する原子、分子、イオンまたは電子は、熱平衡状態においては、その温度に対応したボルツマン分布に従う熱エネルギーで運動をしている。この熱運動によって、荷電粒子から電磁波が放射されるが、このような放射を出す過程または出された放射のことを熱放射という。

と、ある文献には記載。

さて正直言うと、その後に出て来るステファン・ボルツマンの法則やウィーンの変位則・プランクの放射則などを展開するのは面倒くさい。
かと言って「検討して何かしらの結論を出してみる」と、お気軽にではあるが約束したからにはやらなければならない。

熱反射・放射に関しては様々な研究施設でも色々実験されている。それらの実験方法は基本的に上記の理論に沿って行われていて、その結論も論文やカタログには記載されている。だがそのカタログ値は本当にそうなのか?とうっすら思っている。

建築脳しか持ち合わせていない僕には力学の様なアナログ数字ならば繋がっていくのだが、熱力学分野での「黒体と比較して」のちょっとジャンプ(放射)した現象での理論で作られた数字イメージは繋がっていない。どうにも感覚的には数字だけを追いかけ結論付けるのか・・と言う気分になる。これが気持ち悪い。

そもそも「黒体とは、外部から入ってくる放射を、その波長、入射方向、偏向の方向に関わらず、すべて吸収する性質を持つ理想的な熱放射体のこと。」とはあるが、言葉ではそのまま受け止め様とはするのだが、建築脳がいつも「なんだそれ・・」とつぶやくのだ。

建築脳の場合「えーと、その黒体は何で作ります?コンクリート・鉄?・ガラス?艶消し塗装?それとも煤や炭などの炭素系でやりますか?」と言う感じになる。
黒体内部側の密度・熱容量・伝導率だって大いに気になる。

なぜ気になるのかと言うと、住む地域が寒冷地なので良く体験するのだが、ある低温物質の前に立った時、その時の物性によって体感温度が異なる経験をしているからだ。それは無限平行2面による形態係数や放射係数だけでは説明が足りない。

またこれ(黒体)は、3DCGの光を考慮したレンダリングをやっている人なら判るだろうが、全つや消しで、どのような強い光を当てても常に真っ黒な物?なのだ。おい!それは物なのか記号なのか!
CGで描くと、ものすごい違和感がある。いわば光のブラックホール。

なので通常の自然界には無い物との比較で・・・・うむむ・・・物と数字の関連付けがイメージができん。まぁ、よく実験時に登場する「黒体」は「理想的」なものなのかどうなのかもわからない。艶消しの黒であることは間違いない(らしい)のだが・・。

だから「黒体とぉ比較してぇ・・」の数字やグラフで導かれた、(いつも)すっきりしない結論(実験条件で理論とは異なります・・みたいな)を読まされると、正直イライラする。

実はメーカーのカタログ数値もそんなんで出来ていると思ってるのです。
だから僕はまだ熱力学第一法則界隈でちょろちょろしているんだな。

2015年11月26日木曜日

まかない建築:雪にはナントか間に合った。

Google Earthからの自宅写真。老犬用の散歩道や老車トーラスが写っている。(南側に突き出た屋根部分は今回切断した)

家族の間で「屋根の上の黒い点は何だ?」と言う話題が以前からあった。

あったけれど、誰も見ていないので
1.カラスの死骸説
2.鉄板の変色説
3.フライングディスクがへばりついている説

など推論の域をでてはいなかった。

雨漏りを放置して35年。今回屋根に登ってみて判った。これはなんと水たまりだった。

長年水が溜まっていたので土埃が沈殿し黒く見えていた事が判った。水深25cmと言うほとんど「沼」のような物が出来ていたのには笑った。

いや、それにしても・・・・板金と言うのは何と柔軟な素晴らしい素材なのか。
いつからこうなのかはわからないが、それ以来幾度も積雪や豪雪があり厳しい凍結もあったのに、底抜けもせずに、これで雨漏り程度で済んでいたとは(笑)

数日前11月としては珍しい積雪が来たのだが、ちょうどその時、内部からの構造補強「沼の底上げ」工事が完了した。

危なかった・・・いや、今まで放置していて大丈夫だったんだからと、ウッスラ思っている。(笑)

2015年11月11日水曜日

まかない建築:建設当時の断熱材


35年経った内装をめくってみる


特大のバール。靴は安全靴。今日のオレはいつもと違うww.

天井の断熱材を落としてみる。昔はブローイング工法が無い代わりに、厚さ150mmと言うグラスウールもあった。これは250mm(100+150)。当時はグラスウールの質も悪いので、落しただけでゲヘゲヘになる。死にそうだww。



壁面の断熱状態。
ブロックは蓄熱材としての用途。
外断熱と言う言葉のない時代。

外断熱の先例にあるのは海外でもブロック造のみ。日本ではブロックの2重壁(キャビティウォール)。そしてそれには構造上からの冷僑と言う気になる所もあった。

更にブロック造は日本では海外以上の構造制限が有って大きな室内空間を採るには不向き。

そこで鉄骨構造となるのだけど、プレファブメーカーの様な軽量鉄骨ではブロックの重量を支えられないので重量鉄骨構造と言う選択肢。

設計を覚えたて2年。
ま、こんなものだったんです(笑)

この断熱材の入れ方、今ならお笑い物だ。

内部側から、
銀膜付き高密度グラスウール50
一般グラスウール100
外壁下地にスチレンボード20mm合板サンドイッチパネル。
その上にラスモルタル(サイディングも無かったんだってばww)

各性能は別にして、ザックリした断熱材の厚さは170mm。

35年前、灯油40円/L時代に計算したランニングコストとイニシャルコストの損益分岐点。
断熱材の厚さとしては現在でも通用するかもしれない。

だがこれには欠陥があった。
天井にはフィルムが入っているが壁面にはフィルムが入っていない。

これはもう、ヤラカシテいるww。
 
いやあたくし、いかに当時経験不足でもこの様な指示は致しませんのです。
その頃は地元建設会社の単なる下働き現場員。幾つかの現場が重なり、自分の住宅は後回しにせざるを得なかった事を思い出します。

職人さんも、銀膜付きグラスウール(お高いのですが間違っちゃったら意味がないww)という事と建物の気密とは、無関係という事をまだ知らなかったのでしょう。さらに下地分の隙間が空いているし、今ではあり得ない状況。この後10年ぐらいしてからようやく一般的に「気密が重要」となった。時代なんですね~。

今でも0.15mmを使っている。切断した物を立てかけて
自立するぐらいの強度がある。破れにくく、若干乳白なので判りやすいんです。
それに、どんなに強い気密テープにも絶対負けないww
でも、その頃から気密膜としては過剰なほど分厚い0.15mmを使っている僕としては、これはあり得ない。(気密性能は変わりないけれど、破れにくいのときちんとできているかのチェックがしやすい。しかし通常の5-6倍コスト高)。内部側フィルムの施工ミスの怖さを知ってたんですから・・。

これはもう僕の施工管理ミスですね。これが大敗の原因でした(笑)

まかない建築:木製建具

珍説:
1.アルミサッシ+内部木製窓(ガラス1枚)
2.プラスチックサッシ(ペアガラス)
寒冷地の住宅では基本的知識として、1より2の方が断熱性能が優秀。
もうこれは常識化された事なんだけど、前からちょっと疑わしいと思っていた。
現代ではこう言った性能を表示するにはQ値C値などを用いて、共有できるように「標準化」されてはいる。それには異論はないんですけどね。当たり前に、金をかければ高性能が手に入る。
そんなつまらない事はしたくないw

結論
これね、小さい窓ならば1の方が優秀なんですよ。(キッパリ断言!)
理由は枠。普通の木製窓でもプラスチック窓に全て負ける、とは限りません。
或る工夫をすれば、ローコストでそれを上回る事は十分可能です。
何々風などと言う様式インテリアデザインなどでは、やはり木製の出番です。


僕の住宅では、国産出始めのプラスチックサッシと、1.の木製とを付けて比較している。
当時、ドイツ・北欧の新製品と言えばプラスチック窓。
木製サッシはまだ開発されていなかった時代。
 
地元の建具屋さんたちの将来はどうなっちゃうんだろう。
今でこそ「車」が技術産業の頂点だが、その頃は建設が経済の先導を切っていた。そのような自分達の一角が崩れるような気がしていた。(今では業界そのものがメロメロだがww)

輸入建具が始まった時の頃だったので、一部採用して比較していたのだ。
(と言うより、お金も無かったしw)

ところで、35.年前の窓性能と、現代の窓では比較にならないほど上がったのかと言うとそうでもない。やはりこの地域に合った物はかなり高価で性能もそれほど満足いく物ではない。いや、数値は簡単にクリアできるけれど、それは地域のノウハウによる物ではない。

比較する条件まで考慮していなかったのは未熟だったが、どうやら建設当時の疑問に思っていた仮説は正しかったと思う。
もちろん改善すべき点は多々あるのだが、ようやく地元建具屋さんが、自信を持ってそれらの市場に競合しても大丈夫なノウハウが出来たのかなと思う。

2015年11月9日月曜日

まかない建築

料理の世界では修業中は「まかない料理」で腕を磨くのだろう。
建築だって同じこと。
だがすぐ結果が出る料理とは違い、経験豊富な師匠と呼べる人がいなかった分、時間がかかる。
分かってはいたが、この場合35年もかかってしまった事になるのか・・(笑)

現在住んでいる住宅は留辺蘂で就職していた時のもの。
この時の建築設計経験は実質2年そこそこ、27歳だった。
鉄骨ラーメン構造の計算も断熱構造計算も、一応これでやり方を覚えた。
と言っても、随分色んな所を間違えていた。
何といっても経験不足。
上司とうまくいってなかった事や自信過剰なのか、判らない事が判っていない時期だったのも起因して、誰のアドバイスも受けていない。
もちろん上手く行った事もあるが、反省させられる部分も多い。

■ザックリと失敗のまとめ
雨漏りを放置して35年。
築後、5年ほどで雨漏りが始まった。

自分で解体してみて判った事だが、一連の構造の傷みは、雨漏りが原因では無かった。
直接・間接的に沢山の要素が絡まっていた。

根源的な原因は小屋裏の湿気だった。
小屋裏の気積の少なさと換気不足、これに尽きるのだろう。
軽量な軸材での小屋組みと異なり、ビル物と同じ重量鉄骨構造。太物で構成されている事から、室内に梁型を組んで鉄骨に断熱を行った。
この際に、断熱材が小屋裏一杯まで届き、ご丁寧に軒先の先端まで入っていた。
これでは換気が出来ない。

今でこそ商品化し常識化しているが、この住宅の小屋裏換気手法として初めて「スリット換気」を考案した物件だったのだ。
うーむ、残念。施工する人に説明不足だった。
当時GW断熱材は質も悪く誰もが嫌う作業だったはず。
それでもここまで念入りに入っている事は相当気を使って施工した証拠。
そうか・・・これはもう僕の指示・伝達ミスだ。

鉄骨母屋のC形鋼が一様に腐食しているのは、間違いなく雨漏りではなく湿度である。
高湿度によって母屋の腐食からの強度低下。これによって片持ち梁の強度低下が起きた。

片持ち梁の強度低下から梁のクリープが起き、屋根材に引っ張り応力が生じ、強度低下したC形鋼のダメージを速めていた。
母屋C形鋼脱落した為、それを留めていたL型鋼のアングルピースがルーフィングと屋根板金に接触し雨漏りを起こし、板金に錆びを呼び穴をあけている。

結果、雨漏りは止まったか。
実はまだ止まっていない。
雨漏りとして落ちて来る水はルーフィングを伝って来る。
だから、しずくが落ちた真上に原因がある訳ではなくもっと水上にある。
しずくが落ちる部分はルーフィングに穴が開いているか、何かを伝って来たしずく。
沢山の水が落ちて来るからと言って、大きな穴だとは言い切れない。
いくつかの連続したピンホールからの水がルーフィングの上でまとまると言う現象もある。
とりあえず、屋根の補修材をイギリスから取り寄せたが、雨の日でも施工可能と言う事なので、雨が降った今日ようやく出番、初めて試してみた。
どうやらまだピンホールが残っているらしい(笑)

■面白かった現象
解体も一人でやって見る。
正直観察しながら解体するので、物の劣化や変化を見るたびに考え込んでしまう。
これでは能率が上がらない(笑)。人を頼んでやる規模の解体でもないし、危険度合いも十分承知。
一時期の勢いのなさ(いわゆる老化)も判っているので、のんびりやって見る。

1)木の方が変化が無い。
これも解体して判った事だが、当時はC形鋼と木下地をつなぐ金物のクリップ類は無い。
大工たちも思案してC形鋼に木を食わせそれを下地をつないだ。
しかし、C形鋼が錆びても木下地はそのままだった。
つまり同一の湿度の場合、木下地の方が影響は少ない。当然と言えば当然なのだが鉄>木の図式がうっすら有ったので、木下地の変化のなさに正直驚いた。

2)鉄も異方性強度材料?
また、木材の性質である木目繊維方向と直角方向の強度の違い(異方性強度と言う)は広く知られているが、これは鉄も似たような現象になる場合がある事が判った。
サンダーなどで切断してみて初めて分かった事だが、鉄が錆び始めるとてきめんに木材同様の軸方向強度とそれに直角方向の強度は変わってくる。
これは圧延等成型工程によるものだろうと推測する。
構造計算では鉄素材そのものは、強度の方向性が無く同一なのだが、特にプレート類は顕著に強度の方向性が現れる。
これは構造計算には出てこない(笑)

3)板金の強さ
昨今の建物の形状外周には、乾式建材のジョイントを隠す為、あるいは意匠上の為に板金や金物が配置されているが、これは思いの他強い。
強いと言うかしぶといと言うか、金物類に打ち込まれている釘類は錆びずに強度を保っている。
板金類が引っ張り強度には強い事は判っていたが、長尺平葺板金の一枚の成型分だけで2-300kgは耐えられそうだ。
勿論構造計算には出てこない部材なのだが、淀や破風の折り返しやつかみの補強板なども想像以上に強かった。
板金のみの構造モデルを考案してはいるが、本気でやって見るかとこれを体験して思った。

4)板金の弱さ
ある一定方向にはさみを入れると裂けた。それこそ裂きイカの様に(笑)
板金に強度の方向性があるとは・・・・これも圧延の影響なんだろう。
これも面白い。考えてもいなかったので構造モデルにはこれを加味する予定。
屋根に上がって板金をよく見ると沢山の筋や擦り傷。
折り曲げ成型加工時のローラー痕や施工中の傷が35年経つとダメージとして見えて来る。
ふと板金保証期間年数が頭に浮かぶ。なるほどね~、そう言う事か・・。

大まかだが、個別分野でまだまだ考えさせられる事があったので、不定期にぼちぼち書いてみる。

2015年10月27日火曜日

今日は地下室

DIY自宅(職人オレ):
今日は定位置(地下室)に座っている。
改装の様子写真をUPしていないのは、いずれBlogにまとめる予定なのと、シロウト様が目にすると某びふぉーあたふたーの様に大げさな反応になるから。
 
ま、正直言うとこの状況はプロの僕でもどうした物か迷った。適切な方法は、試行錯誤の中からしか生まれない状況。
ならば各専門職(大工さん・屋根屋さん・鉄骨屋さん)にお任せする事は出来ない。という事で(職人オレ)の事態となった。

と言っても、どうも体の動かし方が判らない。これは、動いてなかったのでどうしようもない。
そして作業は常に足場の上なのだが、足場と体と作業場所のポジションの取り方がちぐはぐ。
不器用なものだ。
一人工事の能率の悪さもあるが、それでも最初の工区の構造補強はあと半日で終了。
 
通販で、内装用の資材を今発注した。
それらは、建材屋さんやホームセンターでは扱っていない。
厳密に言うと(厳密でなくとも)建材じゃない物を使っちゃおうとしている(笑)

2015年10月19日月曜日

法は守るべきもの、だけど・・ね。


建設条件が厳しいほどワクワクする僕も、ちょっとばかし納得がいかない事が有った。




隣り合う宅地の問題:
住宅が密集している第一種住居専用地域などで

Aの敷地は法ルールを守りたいのだが、Bは見るからに違法状態の造成(土地所有者の無知によるもの)が隣り合っている場合。

Aの土地所有者が全て合法的に土地の形状を整備したい。
では、間に立つ擁壁はどちらの負担で作るべきなのか・・・。

役所ではAがそれを負担すべきだと言う。
でもそれは、Bの違法状態を容認する事になるので、それは納得がいかない。
それにAがそのために何百万も負担すべきなんだろうか。

双方合法にして安全な環境を形成するのが宅地造成法の趣旨なはずなのだが、Aだけがその負担を負うのはオカシイ・・。

法の運用としては、手順として整備する側に言うのは判るが、違法性あるいは危険な状態を放置していいのだろうか。むしろAの負担や義務ではなく、役所にはその状態を是正する仕事があるはずだ。

  • 第二十一条  造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者、管理者又は占有者は、前条第一項の災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
  •   都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、前条第一項の災害の防止のため必要があると認める場合においては、その造成宅地の所有者、管理者又は占有者に対し、擁壁等の設置又は改造その他同項の災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。
なるほど・・・・・・・
「勧告する事が出来る」  という事は、しなくても良いという事。

安全よりも役所の立場が優先ということ。役所の仕事・義務ではなかったのか。(民事不介入?)。
市民安全よりもね、そう言う事でしたか、納得しました(笑)

2015年10月11日日曜日

20151010のトト



トト 15歳 秋
台風が過ぎて2日。まだ風が強い。 

午後1:30分
午前中は外に居たのでうちの中に入りたいらしい。

梓帰省。 現在トトと熟睡中。

2015年10月5日月曜日

「昭和の湯」と書いてあった。

一月ぶりに温泉に行ってきた。

背中に手術跡。現在、肩甲骨あたりに半開きになった唇が付いている。
後頭部に唇ならハリーポッターか何かのお化けだが、背中では鬼太郎に出て来るような妖怪の類。
 
「それ見ると他の人はびっくりするからなるべく見せない方がいいかも」と言われてたので、人に逢うと顔を合わさないようにすればいい。だが、それじゃ背中を見せることになるのに気が付いた。
 
という事で、地元のマイナーな温泉宿に行くことにした。
 
そう言えば、この小さな浴場なのだが、30年以上昔に僕が書いたもの。
予算上、意匠を凝る余裕も無いし、スペースも周囲上部にも限界が有って何の変哲もない箱しか作れなかった。そして、鉄筋コンクリートをミス無くやれる業者でもなかった。

温泉の浴場は難易度が高い。建設材料が劣化する速度が速いので、どの程度メンテナンスを想定しているのかが気になる。まず、温泉成分との化学変化・・。並の建設工法・材料では失敗する。

出来れば同時期に建てた公共施設と同じやり方(懐かしのセラミックブロック)でとの要求だが予算がない。それにあれじゃ熱損失がひどすぎるし、細部が弱い。
また大手設計事務所が手掛ける派手な民間施設の工法では劣化が激しすぎる。
仕方が無く、その時代では例が無い鉄筋コンクリート外断熱(外断熱と言う言葉すらなかった)で作った。
僕にしては珍しくひたすら地味(笑)

コンクリートも空気連行のAE剤を使用せずの、常識外れの緻密化コンクリートの配合設計(そう言えば最近やってないね)をして躯体での防水。更に最初の塗装なので、躯体浸透し化学変化保護する灯台用の塗料を採用した。

実際施工業者も、生コン製造プラントも、塗装屋も、勿論施主も、「田舎の貧乏図面屋が何能書きこいてるんだ?」とばかりで、誰も理解も評価もしてくれなかったのだが、これらだけは妥協しなかった。
35年?近く経って見ると案外状態は良いようだ。

そりゃ経年変化と、予算が無く断熱仕様に出来なかった窓廻りには一部修理の形跡。
コンクリートヘアクラックの跡はあるが、躯体全体の中性化や劣化は未だにない。
上階の床高に合わせる為の苦肉の策の、鉄筋が混み合う扁平梁も変化は無い。

一人孤立し、最後まで理解されないまま工事を終えた。
ただの図面屋として仕事をしただけと扱われていたので、工事関係者からも事後の連絡は無い。
ひさびさに顔を合わせた施主も、僕の顔すら忘れていた。

とにかく、どうやらメンテナンス費用は格安で収まっている。
大手設計が手掛けた同時期に建てた温泉は、すでに解体・建て替えされ、別の鳴り物入りで建てた派手な温泉も、10年周期でメンテナンスに明け暮れている。

ほら、違いはこれなのさ。
維持できている。
35年経っての自己満足。空しさも感じるが、まぁいいか・・・。



案の定、温泉には誰もいないので、背中の妖怪を見られる気遣い無くのんびりできた。

湯上り奥さんを待っていると、どこからか昭和の香りがするギターの音。
フォークっぽい循環3コードのみの曲。いい感じでチューニングがずれて、湯上りのだるさにちょうどいい。


帰り際、玄関を振り向くと「昭和の湯」と有った。
それならもうちょっと、それなりにデザイン更新しようよ(笑)
関与しなかった部分の劣化が激しいww


帰る車の中「あの温泉浴場、昔、俺が書いたんだよ」と奥さんに言った。
「へ~・・・」 それだけだった(笑)

2015年9月26日土曜日

ザハがやりたかったこと

一年ほど前、あるソフトウェアの会社にボロノイに関してのプラグインは有りませんか?と問い合わせたことが有った。

建築構造にもFEMの考え方が一般化し、さらには荷重と形状の制限内で構造体の適正配分が可能になった今、それを実現させるための素材配分方法としてボロノイが必要になってくる、と考えていたからだ。後日、良く調べるとそれに近いプラグインが有ったので、今はごまかしながら試用している。
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このビデオは自然物の細胞の形状から、その「有るべき適正な形」を模索するもの。純粋な細胞工学の物ではないが、サーフェースや構造を効率的に考える物として「あり」だなと思う。
面白いのは、ボロノイと一般サーフェースをリラックスさせている事。(リラックス=力を馴染ませると言う感じかな)最終的に使用しているのは、多分autocad系ソフトウェアのあのコマンドだ(笑)

このボロナックスの考え方は自然界に習って均一素材の配分という事に基づいている。だが、確かに自然界では単一な素材でのみの構成なのだが、人間は強度の違う物を組み合わせる事が出来る。それをクリアすると更に良くなるだろうと思う。

例えば骨格。骨の細胞は「骨」しか作りだせない。つまりは単一な素材。しかしながらその単一素材を縦横無尽に使い、密度や形状を変えながら非常に合理的な動作の組み合わせまでに創り上げている。

そしてその断面は、構造計算の公式で解ける形状の物は一つもない。元々今までの構造計算は「計算しやすい仮説」を解いているのであって、骨細胞が作りだした自然の摂理の物ではないのだ。

人間は、ようやくそれを解ける入口まで来ている。有限要素と時系列3Dシュミレーション。これが汎用化された今、それにチャレンジする人も数人見かけるようになった。ようやく構造は自然を越えられるかもしれない。キーは異強度剛性。これがクリアできれば、ようやく建築も医学に貢献できるのだろうね。



ザハの近年の動きを見ていると、どうやらこれをやりたいらしいのだ。他にデザインした小物もこの一連にある。

課題は有機的形態に数学的根拠が与えられるか、と言った所なのだがその手順が、発生した形にこだわるあまり、摂理を超えていきなり「神の手」になってしまう。
 
多分それは、彼女をアシスタントしているCGデザイナーが、「グラフィックデザインとしてのCG枠」を超えられないので上手く到達できないのだと思う。単純にイメージした形と力学的形状とは違うのだ。ソフトの限界が発想の限界になっている。

こう言う事は最近多くなっている。
日本の有名建築家の例だが、アシスタントがCGソフトのRhinoceros(ライノセラス)の達人。
それでその有名建築家はそのソフトの中にある、グラスホッパーと言うプラグインが作りだした形状が「作風」となったりしている。

つまり使ったソフトが「作風」となる時代。
昔、デザイナーが「フォトショップでやった」と「自分の技?」を自慢してた時代が有った。
フィルターコマンド止まり・・・(笑)
笑うべきか嘆くべきか、それとも必然なのか、とても迷う(笑)


ザハのあの案にあったキールアーチは建築骨格としては矛盾は無いのだが、それを成立させる為の「あるべき形状」がサポートされていない。日本の設計業界の修正案はさらにその下を行く物だった。

もしも日本の設計チームに、京大のプログラミングアーキテクチャー研究グループなどがサポートしていたら、修正案はよりザハの案に近い合理的なものになっていたと思う。(下記ビデオと近い事をやっている)

これは140mの梁の合理的構造形状の逆解析。力と荷重条件から適した形を求めていく計算。
形状制限を変えたり異強度素材であればまだまだ違う形状になる。
日本では藤井大地氏が同じアルゴリズムを書籍で紹介している。



多分それでもゼネコンは反発するだろう。
「実際にはどう作るのだ。型枠や表面仕上げはどうするのか」

僕ならこう答える。
「3D分割サーフェース膜に吹付GFRC。キールアーチ構造も同一強度同一断面のソリッドな素材で有る必要がすでにない。」

一連の残念な結果は、運営側だけに有るのではない。
建設技術コーディネーターが弱かったんじゃないかと思う。

関連
ザハ・ハディットが悪いのではなく・・・

2015年9月24日木曜日

面白いジャンルの車両区分がある

2人ちょい乗りという用途。町工場製造原価60万ぐらいだった(電動部品が高いね)

画像は道路交通法車両区分で行けば、「側車付軽自動2輪250cc以下」いわゆるサイドカー付オートバイに類するもの。車検がお得。

トライク(3輪車)L2.5m W1.3m H1.15m 3KWホイルインモーター。2人乗りゴーカートの様な大きさ(規定ではドア屋根は付けられない、開放が条件。)

動力・方向制御は後輪。前輪は生意気に車にバンク角(遠心力軽減)を付けるサスペンション。(トライク結構ずっこけてるようだしww)
この選択は現段階で出回っている汎用製品(モーターとブレーキの関係)の限界。

3輪車はお安く製造できるんだけど、コーナーに弱いのが欠点。だけど重心を安定範囲の中にどう配置するか、考えようによっては3輪だからこそのメリットもある。その一例。 ボディデザイン前なので軍用みたい。(なまめかしくも出来るww)




前から面白いジャンルと思っていた車両区分。高速は走れないけれど一般車道・街乗りOKでひところ走っていた原付ミニカーの制限速度30kmは無い。

タンデム乗り(2人前後乗)ならバンクも簡単だけど、それじゃつまらない(ドライブは話し相手が有るほうが楽しい=好み)のでこんな形。並列2シーター車のバンクは難しいけどこれならほぼ解決。(どや、BMW!(笑))



あまり大きな声では言えないが、現行法ではこれを電動でやるメリットは大きい。
トライクではあまりにも有名なT-REX(600万以上)。
http://www.motosalon-oka.com/trex14r-top.html

まだまだ対抗できる要素があるので各社この種にチャレンジしてるみたいだね ww。

2015年9月16日水曜日

安全は誰もが手に出来なければならない。(アースバッグ工法再考)

安全は国民の権利。

とは大上段に言っても、条件状況が異なればその実現は簡単ではない。国や自治体が常に保障してくれる訳でもない。


土砂災害が起きるたびに、そしてちょうど昨年の広島の土砂崩れで沢山の犠牲がでた時、これをまとめていた。

宅地造成法


土砂崩災害が現実に起きている事は、国土交通省の宅地造成法に誤りや見落としとまでは言えるかどうかは分からないが、今まで通りで良いわけがないのだ。

災害ハザードマップ・災害危険指定区域を慌てて作って、その中を規制するとかはしているようだが、規制したところで現にそこに住む住民には何の処置もしていない。

造成許可を降ろしていながら、災害危険指定区域とする。この矛盾にも応えていないだろう。そしてその「土」の技術的改革が有るのかないのかと言うと、進歩は全く見られない。

河川の増水で堤防が決壊したが、この技術も「土」を甘く見ているのが報道で判る。

アースバッグ工法の応用

アースバッグ工法はアメリカのNASAが、人類が他の星に移住する際、どうシェルターを作るかと言った方法論の一つ。(ソイルバッグも同じ理念)

人類が他の星に降り立った時、唯一そこにある建設材料、「土」の工法だ。
簡単なこれを使って、従来の「土」に、支持構造体としての性能を持たせていく。必要な物は土嚢袋と、土と若干の土質改良材(安価=石灰・セメントなど一般的市販品)

誰もが入手できる材料で、簡単かつ経済的に専門の業者を必要とすることなく、安定した土質と地形を維持する工法を得る事が出来る。必要な物は草木を愛でる様な日常的視点あるいはメンテナンス。補修もさらなる補強も簡単だ。

近年になって、それは自然派、サスティナブル工法とかグリーン工法などと合流し、各地で建設の動きがある。しかし、そう簡単に普及は進まない。

その理由は3点。

  1. 「建築」となれば法規で安全を確保し規制しなければならない。
  2. 他の建築工法のようには利益が出ない。
  3. 熟知する技術者が少数

事に由来する。
(よくわからないのだがどうやらこの工法でも利権を争うグループが出てきているようだ。商売になり始めたという証拠か(笑))


ガーデニングと同じレベルの技術で安全を積み上げていく。

この書類は昨年作成した物。ある災害危険指定区域で、安価に住民が協力して確保していける難易度の安全確保の方法論である。ガーデニングの様に日常的作業技術範囲で住民自ら安全を確保していく。安全は本来そう言ったものでなければならない。

宅造法ではコンクリートとブロック擁壁しか記載例がないが、昨年アースバッグ工法で、一般擁壁同等の安全を確認するならば、許可されるのだろうかと言う試みを行った。

前例はないだろう。それは判っている。しかし、この工法ならば多大な政策予算や工事費を費やすことなく、確実に住民環境の安全をかさ上げできる。安全対策予算に苦しむ地方自治体にだって有効なはず。そう言う視点でこの構造計算を審査してほしい。理解できなければ上級省庁に相談してほしい。

昨年はそうお願いして提出した。
結果は「見たことない」で、終了(笑)

今年も8月に、この工法ならばどうなのか。結果は「土嚢なんて」と頭から否定されている。
それは、技術的な見地から物を言っているのか、それとも狭量さからなのか!と食い下がるが、一考する気もないらしい。

そして、災害危険指定区域に指定したから自分達には責任が無い。住民負担が多かろうとも、自分達が認めた工法で無ければ許可しないと言い切った。
住民負担の重さがどうでもいい?何を言うのか。

行政なら、なおの事技術的見地で見るべきだと反論した。彼らが言う技術根拠は「素材・材料」でしかない。コンクリートは土よりも丈夫。その程度の技術観点で安全を語るなと言いたい。

しかしながら、役所が障壁になったその工事は、どうでもいいから早くケリ付けてというオーナー側からの要望で、この工法は流れてしまった。(ごもっとも・・)

役所の技術革新はボトムアップでは出来ない。
これは前から判っていた事だがこれでは住民は救われない。
災害危険指定区域で固定資産値が下がり、許認可で拘束、工事費は高価格になる。

河川被害のニュースを見ながら、こうした住民生活を守るには、制度設計だけじゃなく、やはり色んな分野のパートナーは必要だと思う。  つくづく(笑)

都市部なら集められるのだろうが・・・・(笑)

今後のすべき事は「自助工事的アースバッグ工法」を誰でも利用できるよう整備する事。
さてさて・・・

2015年9月15日火曜日

ある農業施設

道央の製造業との農業施設企画。

依頼の物とは関係ないのだが、以前から気になっていたものをネタに出した。

コンポストトイレ+休憩室。


農場でFRP製の簡易トイレを見るたび、「あれ、清潔感を保つのは大変だろうな」と思っていた。
他にも、公園や観光地やイベント会場・被災地のトイレも正直、なんで掃除のしやすいように作らないの?と・・。

見ていると、トイレメーカーはトイ機器しか考えられていない。それはいいのだが、他の分野もきちんと考えなければ、総体的にコストも落ちなければ省エネルギーにもならない。
建築もこうした機器類に関しては、設備分野として一括して分離してしまうので、そっちが悩んでいる事などには目もくれない。結局は何の解決策のアドバイスもしていないし出来ない。業界そのものが上から目線。悪い癖だ。

これはそんな視点から考えていたもの。

このコンポストトイレは一日の処理数は大小双方50回の分離型処理。
コンポストトイレは、あえて分類すれば嫌気型・好気型に分かれ、これは好気型のデザイン。
従来製品と異なるのはシャワートイレ便座もセッティング出来る所。

TinyHouseを考えると常にトイレはどうするのかと言う問題に突き当たる。
豪華キャンピングカーでも「お持ち帰り」は出てしまうのだが、その処理は大変。
そこで「解決の道」を付けましょうという事で考えていたもの。

コンポストメーカーも採算面と開発段階の都合(理解していなかった)で初期段階に落としてしまった機能なのだが、完全分解までの時間短縮とその間の処理の簡易さ(容器洗浄が必要ない)を特徴としている。完全分解後は肥料となる。

分解処理には、北海道厳寒地ではほんの少量の電力(発電パネルで十分)は必要だが、他地域では不要。もう少し小型にすれば家庭用トイレにも応用可能。

まずは移動型トイレとして、水洗トイレよりもイニシャルコストが安く、従来のタンク式よりも取り扱いが簡単で、使用感は水洗トイレに準じる、と言う所を目標にしている。

「社会的に必要とされている分野だからウチがやってやろう」と言う、気概を持った企業と出会いたいのだが、中々いない。そりゃぁ製造コストはかかるが、よく言う失敗などの開発リスクなどは無い。

以前、地元企業に話をした時、残念ながら興味が無かったようなので無理にお願いする訳にはいかなかったので機能とコスト優先でまとめた。